[原爆をテーマとした環境絵本を贈る」-2005年8月6日ヒロシマ被爆60周年世界平和大会

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「大亀ガウディの海 Gaudi’s Ocean」の贈呈
2005年8月6日、ヒロシマ被爆60周年世界平和大会に出席した内外の代表者の皆様へ,

この絵本は、広島や長崎で起きた人類の悲劇を繰り返さないために核廃絶の願いを込めて、21世紀の世界の子どもたちに向けて、日本・インド・アメリカ・韓国・中国などの作家・画家・翻訳者・出版社など国境を越えて協力し共同出版したものです。

 核のない21世紀の世界を求め、作家と絵本作家など5カ国の友人が共同出版した初めての絵本で、広島の原爆投下や太平洋での水爆実験など環境問題をを自然界に住む大亀の目から捉えて書き上げたものです。これは今日の地球環境問題をも交えて鋭く描きだした作品で、1995年には南太平洋でのフランスの核実験に抗議してシラク大統領にも送られました。
この物語は日本語版をもとに、アジア地域ではすでにイラン、インドネシア、韓国、マレーシア、ラオス、パキスタン、タイ、ベトナムなど14カ国の14言語でも翻訳出版されており、2001年にはドイツのベルリンで開催された第一回国際文学祭やアフリカ文学祭において紹介され大きな反響を呼びました。

この絵本は原爆画家として知られている丸木位里・俊氏の友人で、インド画家の最高峰であるA・ラマチャンドラン氏によって60枚のイラストが描かれて絵本となりました。原文の日本語から英語への翻訳は、アメリカの音楽家で翻訳者のT.Mホッフマン氏、3言語の印刷出版は韓国のデザイナーカン・ウー・ヒョン氏、CD版のアニメ版の音楽は中国の劉宏軍氏の協力によるものです。
この絵本を、被爆60周年に参加した内外の代表者の皆さまにご贈呈し、さらに広く世界中の多くの子どもたちに届けていきたい、と呼びかけ人一同心から願っています。広くご紹介いただけますよう心からお願い申し上げます。 

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9979986832
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大亀ガウディの海のあとがき

それはもう30年も前の台風の日のことでした。当時学生であった私は東京の上野水族館に出かけ、大きな水槽で飼われていた一匹の大きな海亀に出会ったのです。これはどう考えても海亀を見たというより海亀と出会ったと言う方が適切です。なぜなら海亀は涙を流しながらしきりにもがき苦しんでいるように見えたので、私は「亀さん、いったいどうしました?苦しそうにもがいて?こんなに設備のいい水族館にいるのにね。もし僕にできることがあったらなにかしてあげたいけどどうしたら?」と尋ねると、その一瞬、大亀の目は電光石火のように輝やき、すぐに「馬鹿なことを言うな。お前は自分自身も助けられないのに、他の動物を助けたいだと・・・おれはもと住んでいた大自然の海へ帰りたいんだ。」と答えたのです。そこで私は大亀を水槽から連れ出そうと、すぐに大学の図書館にこもって助け出すための物語を書き始めたのですが、それからあっという間に20年間が過ぎてしまったのです。「すみません!大亀さん、こんなに時間がかかってしまいました。」

この物語が生まれた背景を考えてみると、私がまだ小学生だったころに第五福竜丸という静岡の漁船が太平洋のビキニ海域で行われたアメリカの水爆実験で、23人の乗組員全員が被爆し死傷するという事件(1954年)があったことを思い出します。私は原爆が落とされた広島市から60キロ離れた三次という小さな町で生まれ、幼少の頃より原爆の恐怖や悲惨さを体験者から直接聞いて育った世代ですが、漁民が被爆したというニュースは原爆投下と同じぐらい大きなショックを幼い心に植えつけました。
 それから、私は水俣病やイタイイタイ病など高度成長経済下の日本で、発生した悲惨な公害列島の人々の苦しみを感じながら成長していったのでした。そしてその中で感じたのは、人間によって作り出された環境問題で苦しんでいるのは人間だけではなく、海や陸や空に住む無数の生物や動物の存在だったのです。彼らは人間のように雄弁な言葉をもっていないが、いつも全身でかれらの苦しみや悩みを表現しているのでした。
 チェルノブイリ原発で起きた大事故は、人間の文明は絶壁に立っているという深刻な警鐘でした。21世紀に入ると環境問題はあっという間に地球全体を覆いつくし、細胞の隅々まで汚染された北極のアザラシや鯨は生存を求めて海洋を彷徨い始め、経済活動が活発化し始めたアジア地域では環境破壊の中での貧しい人々はますます絶壁に追い詰められていっているのです。しかもこれまでは汚染状況を目や感覚で把握することが可能だったのに、今日では目には見えない遺伝子操作や染色体の移し変えという新しい環境問題も浮上してきているのです。                              
1995年、私はユネスコの活動で太平洋地域の8カ国の図書開発会議を開催するためフイジーに行ったとき、南太平洋大学の学長コナイ・ヘル・タマン氏は、「今日の環境や核問題を考えるとき、この本は太平洋のすべての国の人々が読まなければならない21世紀の必読書です。太平洋を決して核の廃棄場にしてはいけない。」と力説されましたが、同年フランスは太平洋のムルロワ環礁で核実験を強行しようと画策したのでした。私はすぐにフランスのシラク大統領にこの本の英語版を抗議書簡とともに送って、「貴殿の言われるように核実験が人畜無害だというなら、今回の核実験は太平洋の美しい環礁でやるのではなくて、なぜパリの凱旋門やエッフェル塔の地下でやらないのか。それとも旧植民地の人間は焼いて食おうと、煮て食おうと、すべてフランスの自由だと言われるのか」と尋ねましたが、その答えとは美しい太平洋の環礁に放射能まみれの大きな陥没を作ることに成功したニュースでした。

 核実験は、このあとも中国、インド、パキスタンと続き、そして核大国のアメリカは現在でも臨界内核実験を強行しているのです。このような環境の中で、多くの人々に支えられて誕生した物語は、美しい英語版をもとに、アジアの国々では14言語で翻訳出版され広がっていき、2001年にはベルリンで行われた第1回国際文学祭やアフリカ文学祭の席上でも広く紹介されました。三十数年前のある日、水族館で一匹の大亀の苦しむ様子と出会ったことから始まった物語が、現在、世界中で読まれ始めているのは非常に嬉しい気持ちですが、海洋や大気汚染はますます深刻化しているのが悲しい現実です。ニーチェの言うように「地球は病んだ皮膚をもっている。それは人間の存在である」という課題は延々と続いているのですから。

 長年の友人であるインドの画家であるA・ラマチャンドラン氏は、1990年、大亀ガウディの海のイラストレーション60枚を一挙に画き上げました。当時、彼は大学の美術学部長という要職にありましたが、かれはインドの曼荼羅のスタイルを取り入れ、ガウディの悲劇を表現するために苦心に苦心を重ねたと、膨大な下書きを見せてくれました。彼は、「亀はヒンズー教ではビシュヌ神の化身で、宇宙を司る聖なる存在だ。」と言いましたが、この美しいイラスト本は日本では出版状況が厳しく、とうとう十数年も刊行することが出来なかったのです。しかし2005年、韓国の旧友で、デザイナーであるナミソム社長のカン・ウーヒョン氏が、ソウルの女性新聞社の書籍部門代表のリー・ケーヨン氏と、印刷製本などに全面協力を行ってくれました。

 英語版への翻訳は、アジア音楽の権威でもあるアメリカ人のティム・ホッフマン氏が、そして組版製作などイラスト本の最終デザインは道吉剛氏が、そしてこの絵本がソウルで印刷され出版されることになったのは、ディンディガル・ベル社の代表で編集者でもある黒川妙子氏の努力に負うところが大きく、彼女の励ましがなかったらこの美しい絵本は存在しなかったのです。また2005年1月に亡くなられた東外大名誉教授の鈴木斌先生を始め、内外の多数の友人からの絶えざる励ましに心からの敬意と感謝を表したいと思います。物語とは、物語が作られていったプロセスこそが物語です。

大亀ガウディよ!今こそ自由に大海に帰れ!そして宇宙を司る環境の化身となれ!

http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9979986832

















                        

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