アフガンへの軍隊の増派よりも、ハードからソフトへの転換を行え!

アメリカのオバマ大統領が、近いうちに決定するアフガニスタンへの3万4千名の増派は、一時的にはアフガニスタンの状況を好転させるかもしれないが、しかし長期的にはベトナム戦争と全く同じ泥沼状態を作り、やがてアメリカ社会が崩壊しグローバルな影響力をすべて失っていく端緒となっていくのではないか。



かってソ連がアフガニスタンへ泥沼的な介入を図って、敗北を余儀なくされ、やがて内部の諸矛盾からソ連体制が崩壊をたどっていったように、アフガン戦争とは、実はアメリカの体制の中にある諸矛盾や諸問題を解決するためにこそ戦争遂行を継続しているのであって、アフガニスタン自体の問題を解決するためでは決してない。これが存在するために、戦争が100年戦争と呼ばれる所以である。



表面的には、9.11に発したテロの根絶を名目としているかもしれないが、これはベトナム戦争時の共産主義の脅威によるドミノ理論(1国が共産主義化すれば、近隣諸国もすべて共産化するという駒倒れの発想)と全く同じ発想である。テロの壊滅は、アフガニスタンの人々自身の手によって、解決されなければ、腐敗や虚偽を内実とするアフガニスタンの現政権には、なんの解決能力も育てないだろう。その自力更生を見極めるためにも、アメリカは今、全面撤退をすることが、長期的にはアフガニスタンの自立への力をつけることになるのではないか。



「柔よく剛を制する政策」、それは「力よりもソフトパワー」こそが、望まれるのであるが、アメリカはこれまでにすべての戦後体制は、「剛」の政策のみに終始してきた。パックスアメリカーナである。これはアメリカ国内に存在する軍事産業と経済活動との連結が、要求している「伝統的な戦争国家」の性格をもっているから、これがアメリカの存在の証のようなところがある。


一方のアフガニスタンは、数千年の歴史をもつ伝統的な戦争国家である。絶対に戦火のやむことのない歴史をもつ国家同士が、かくしてグローバル経済の中で、自爆テロなどの凄惨な死闘を繰り返しているのである。これは戦争を行いながらの経済活動であって、決して人間の文化活動でも文明活動でもありえない。

これを人間的な顔をした文化活動にするためには、アメリカは国内における強欲資本主義を抑えて、(それはイスラエルロビーを抑えて)21世紀におけるソフトパワーの哲学と展開を明確にしなければ明日はないということだ。



ソフトパワーは次の五カ条からなりたつ。


1条: 

ソフトパワーとは、軍事力とは全く相反する哲学と行動であり、国家の利権産業を前面に押し立てて行う戦争経済からの脱却と方向性である。ソフトパワーとは、結局のところ教育、文化、コミュニケーションの力によって、人間社会の絆を築こうとするソフトな平和経済による運動体である。それは徹底した対話と体験から成り立っている。


2条:

戦争目的は、常に内部に包含している。外ではない。つまりアフガニスタンの戦争の目的は、アメリカ人が人良さそうにアフガニスタンの人びとの繁栄や幸福を考えているにあらず。それはあくまでもアメリカ自身の利潤社会や経済活動への要求から来ていることを自覚しなければならない。アメリカは、内部の諸矛盾を決して外部の目的に転化してはならない。


3条:

ソフトパワーの最も重要な考えとは、ICLCの唱えるヒューマン・リテラシの考え方である。つまりヒューマン・リテラシとは、「知識や情報社会において、そしてコミュニケーションや経済活動において人々や環境を殺さない哲学」の確立こそが望まれている。このソフトパワーの理念を、世界各国は、アメリカを初めとして経済や政治の各分野にどのように注入するかである。こうしたヒューマン・リテラシの考え方を、アメリカが先んじて宣言することによって、アメリカはアフガン戦争だけでなく、21世紀世界において確固たる方向性を築くことに成功するだろう。それは反核運動とも似ている。


4条:

アフガニスタンの人びとは、平和と文化を望んでいる。宗教とは本来平和を育てるものだ。アフガニスタンの偏狭で保守的な考えをもっている部族社会や一部の人間を大きく変革するためには、「新しいリテラシ教育」こそが真摯に望まれている。それにはICLCの「21世紀の識字政策のありかた」を参考にしていただければ幸いであるが、21世紀のリテラシ政策の内容は、地域社会と国際コミュ二ティの総合した協力によって築かれるものであり、ICLCの行っている識字理論がそのものの基盤となる。これは徹底して「開かれた知識や情報を最も望んでいる人々は社会の中で誰か、という考え方である」


5条:

ハードからソフトパワーへの転換とは、口を開くことによって始まるのではなく、すべて耳を傾けるということから始まる。これができるかどうかに、これからの中東政策のすべてがかかっている。オバマ大統領は、今、雄弁な口を閉じて、中東からアフガニスタンにおけるさまざまな声を、(それも各国のロビーではなくして)戦火の中で家族を失っていった人々から、「聞く耳を作れるか」どうかに21世紀の運命がかかっている。


「人類は誕生してより、しゃべることよりも、他の声や音に耳を傾けることには、はるかに苦手である。」それを克服できたとき、初めて新人類の誕生があるのであろう。




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