無実の姉妹を救い出すことーキラン図書館の光とはなにか?

2009年1月3日、パキスタンのラホールの友人から嬉しいニュースが飛び込んできました。それはこれまで8年間、ICLCが死刑囚の姉妹の釈放のために活動してきたことが実って、完全無罪が確定して、二人の姉妹が釈放され、彼女たちは実家に帰れたというのです。なんという嬉しいニュース。二人の姉妹の苦労や喜びを想像すると思わず涙が出ました。

もう8年前になりますが、パキスタンの刑務所に収容された子どもたちの識字活動を推進するICLCのキラン図書館を設置するために、パンジャブ州の砂漠地帯にある女性刑務所を訪れたことがあります。その時、牢獄の中から死刑を宣告された20歳ぐらいの二人の姉妹が私たちに懸命に無実を訴えてきたのです。二人は5人をピストルで殺した殺人犯として親族から訴えられており、パキスタン社会の女性差別や怨恨や財産を狙った村で起きた親族の殺人罪の死刑囚として、弁護士もつけられずに投獄されていたのでした。5人殺すというのは、5回の死刑に相当するのだそうです。

刑務所長の深い同情もあって、所長は私に特別にその牢獄を見せて会わせてくれたようですが、真夏の灼熱の小さな牢屋の中で涙を流して「無罪」を訴える二人の姿をみて、なんとかしたいとは思っていましたが、それから1年後、再びキラン図書館を訪れたときその姉妹に会ったのです。

その結果、私はこの件についてラホールの友人に相談したのです。そうしたら運よく彼の弟がスウェーデンで法律を学び最近帰国し、現在ラホール高裁の弁護士をやっているとのこと、早速事件の調書などを調べてもらってようやく再審が始まったのです。「このケースは無罪に間違いない」との弁護士の感触でした。

そして再審が行われた結果、有罪は大きく覆りました。それは殺人を犯したという姉妹の状況説明が、実際の事実と大きく異なっていたことや姉妹が逮捕された後、不当な取り調べを受けたことーそしてこれまで弁護士などが一切つけられていなかったことなど、姉妹の罪名はでっち上げられていたのでした。そして犯人は別にいること、彼らには殺人を犯す動機はないことなど、こうした結果、高裁では死刑から懲役10年に減刑となり、そして1年後に無罪が宣告されて釈放になったのでした。

これは3人目の釈放でした。ラワルピンディの刑務所から、無実の少年を釈放したこともありましたが、キラン図書館を設置する中で、いろいろのことがありますね。1998年頃、現在のパキスタン大統領であるザルダリ氏はアデアラ刑務所に入っていましたし、現在のパキスタンギラニ首相も2005年当時も獄中にあったのです。

しかし子どもや女性の場合には、政治犯と違って、冤罪や仕組まれた犯罪が非常に多くて、その社会の腐敗を痛烈に感じます。それだけにこうした活動の意味は大きく、ICLCの国内の関係者やパキスタンのICLCの現地の関係者、弁護士、そして鈴木斌東外大教授の奥様公子さまなどの力強い支援に感謝しています。これは大変嬉しいことです。

キラン図書館が、子どもたちに本を届けるだけでなく、無実で苦しんでいる子どもや女性たちを闇の中から救いだす役割も果たすことができたからです。



そのネットワークがきちんと機能したのですから。それがどんなに大きな励ましになるのか、無実の罪で苦しんでいる者でないとわかりませんね。あの灼熱の地獄のような監獄の中で、死刑囚のレッテルを貼られて生きてきた姉妹たちー今年は本当に嬉しいニュースで幕が開きました。 この動きを中東やアフリカにも広げていきたいものです。

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