津波による危機は乗り越えることができるが、役人による危機からは逃れることができない。

官僚とは、「どうやったら人々を助けられるか」という発想ではなく、「どうやったら人々を助けなくてもすむか」ということを真っ先に考える動物である。もちろんそれには限度があるが、悪しき官僚というものは限度ということを柔軟的に考えることができない。

新聞報道によると、岩手県陸前高田市は4月8日、10日に入居を予定している避難者に「入居後の物資は、自立の方向で考えろ」と説明したという。説明会に参加したという女性(35)は「まったく想像していなかった。どうやって食料を調達すればいいのか」と困惑。夫(36)も「避難所を出るのが自立への第一歩とはいえ、せめて配給だけでも残してほしい」と話した。父母と長女と4人で入居予定の女性は「いつまでも厄介になろうとは思っていないが、何も持たずに津波から逃げたので、自活は無理」と訴えた。


「家を建ってあげたのだから、食料ぐらいは自活するのは当然」とばかり、放り出す発想は、いかにも役人根性丸出しの発想である。相手の状況に応じて柔軟に考える発想はまず存在せず。自らの制約だけを振りかざして、被災者を助けることから逃れようとする官僚の典型である。 こうした存在は、官公庁だけに存在しているのではなく、東京電力など民間にも多数存在している官僚人間の常態であるが、こうした人間の柔軟性のない発想こそが、実は「原発」という危険極まりないものを地球上に無数に造りだしている根源なのである。


しかし世の中には、こうした官僚に比べて、杉原 千畝 (すぎはらちうね)という外交官の存在を思い出させる。 杉原は、早大を卒業して職業外交官となるが、第二次世界大戦の際、リトアニアのに赴任していた時、ナチス・ドイツの迫害によりポーランド等欧州各地から逃れてきたリトアニアのユダヤ難民たちの窮状に同情して、外務省からの訓命に反し、大量のビザ(通過査証)を、カウナス領事館で自分で発給したのである。そしておよそ6,000人にのぼる難民を救ったことで世にに知られている。戦後、彼は日本の外務省から冷酷にも処分されたが、こうした例を例外と考えるべきではない。非常事態の際には、あらゆる知恵やスキルを使って、「人々を助けるために」全力を尽くすべきではないか。そして上司に訴えたり、マスコミに話したりして、社会を動かしながら、目的を達するべきなのだ。


本当に働くこととは、「困っている人々に徹底して誠実に手を差し伸べることであり」、「親切そうに見せながら、決して中途半端に放り出すこと」ではない。考えたりしたらわかりそうなものだが、「自分や自分の家族が被災していないとそうした気持ちもわいてこない」想像力しかもてない役人を作っている行政環境こそが、今回の災害を作り出した最大の課題ではないのか。

津波による危機は乗り越えることができるが、役人による危機からは逃れることができない。本当の危機はそこから始まる。






東日本大震災:「仮設住宅入居後は自活を」に猛反発 (毎日新聞 4月9日)


 東日本大震災の被災地で最も早く仮設住宅を設置した岩手県陸前高田市が8日、10日に入居を予定している避難者に「入居後の物資は自立の方向で考えていただきたい」と説明した。入居予定者は「これでは生活できない」と猛反発している。厚生労働省災害救助・救援対策室は「災害救助法上は通常、仮設住宅の入居者への物資支援はしていないが、困っている人がいれば柔軟に対応してほしい」とコメントしている。

陸前高田市は約7300人が避難所生活を送っており、5月中に必要なすべての仮設住宅の着工を終える方針。第1陣として10日、市立第一中学校内に完成した36戸への入居が始まる。

 冷蔵庫やテレビなどの家電製品は日本赤十字社の寄付でそろったが、水道や光熱費は自己負担。さらに市は8日の入居予定者説明会で、入居者の「自立」を求めた。

説明会に参加した女性(35)は「まったく想像していなかった。どうやって食料を調達すればいいのか」と困惑した様子。夫(36)も「避難所を出るのが自立への第一歩とはいえ、せめて配給だけでも残してほしい」と話した。父母と長女と4人で入居予定の女性は「いつまでも厄介になろうとは思っていないが、何も持たずに津波から逃げたので、自活は無理」と訴えた。

陸前高田市の熊谷正文財政課長は毎日新聞の取材に「本来、仮設住宅は自立するための施設で、電気や水、ガスも確保できている」と説明。ただ、民間から寄せられた支援物資は災害救助法の対象外となっているといい、買い物に出る移動手段のない被災者も多いことから「直ちに配給をやめるかどうかも含め9日に市として判断したい」と話した。

厚労省災害救助・救援対策室の吾郷(あごう)俊樹室長の話 災害救助法では通常、仮設住宅の入居者に対する食料支援はしていないが、厳格に支援を打ち切ろうとは考えていない。現に、自宅避難者に救援物資を届けている自治体もある。食料に困っている入居者がいれば、自治体は柔軟に対応してほしい。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

驚いた

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック