立ち往生するインドの原発の建設計画の今

議論を巻き起こすインドの原発推進
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110725002&expand#title
Rebecca Byerly in New Delhi, India
for National Geographic News
July 25, 2011


インドでも「原子力は最も低コストでクリーンな電力供給手段だ」と、ジェイラム・ラメシュ前インド環境森林大臣が述べて人々の説得をはかっている。こうした真っ赤な虚偽が、日本だけでなく、全世界の原発推進を行っている為政者たちの言葉だ。原発のどこが最低のコストでクリーンであるのか?100万年も冷却しなければならない放射性廃棄物をかかえるだけで、低コストではありえないし、大気も地中も水も無限に汚染していく原発エネルギーを住民に説明できるものはいない。




インド西海岸の港町ジャイタプールで、世界最大規模となる原子力発電所の建設計画が進められている。この町は電力こそ不足しているが、魚介や果物の輸出で暮らし向きは良く、住民は生活の変化を望んでいない。3月の福島第一原発の事故後、エスカレートする抗議運動の中で「原発反対」を明確に表明した。

 数年前、慢性的な電力不足を抱えるインドは技術的な孤立を解消するため原子力エネルギーの利用拡大を構想、ジャイタプールを重要拠点と位置付けた。当時のアメリカ、ブッシュ政権は、核拡散防止条約(NPT)調印を拒否するインドでも、西側諸国から民生用原子力のノウハウやウラン燃料を容易に購入できるよう、積極的に外交努力を行った。しかし、2008年に承認された民生用原子力協力協定の下で、進捗は思わしくない。今年7月半ばのヒラリー・クリントン国務長官の訪印は、アメリカの原子力企業の足かせとなっている法的障害を取り除く目的もあった。

アメリカ政府はインド議会が可決した厳しい賠償責任法の緩和を目指しているが、国民が抱く不信感や反発の方が議会より大きなハードルとなりそうだ。


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インドの原子力発電所

◆抗議運動で死者

ジャイタプールは、経済的な中心都市ムンバイの南400キロほどに位置する。計画されている93億ドル(約7300億円)規模の原子力プロジェクトは、インドに限らず世界中から注目を集めている。発電能力1650メガワットの原子炉6基を設置し、総発電量は世界最大の柏崎刈羽原発を25%上回る。電力は近隣の農村だけでなく、インドで最も経済発展が進んだマハーラーシュトラ州全域に供給される。

計画推進に必要な国際協調のお膳立てはアメリカが担っているが、脚光を浴びるのはフランスの技術となりそうだ。

ジャイタプールには、パリを拠点とする原子力大手アレバが加圧水型原子炉EPR(Evolutionary Power Reactor)を導入。この新世代原子炉を建設する最初の現場の1つになるという。アメリカの科学者団体、憂慮する科学者同盟(UCS)が数年前に発表したレポートでは、2重構造の格納容器と独立式の予備冷却装置で安全性が向上すると考えられていた。しかしフィンランドのEPRプロジェクトで起きている予算超過などの問題を引き合いに、適切な試験を受けていない設計の実用化を疑問視する声がインドで上がっている。

福島事故後は、インド全土の環境保護活動家が立ち上がり、反対運動が大きな広がりを見せた。建設予定の沿岸地域は5段階の地震危険度で第3のランクとの指摘もある。4月にはデモ隊と警察が衝突し、漁師1人が死亡、負傷者も複数出た。

◆クリーンな電力の推進

インド政府が原子力発電を推進する理由はシンプルだ。毎年9%前後の経済成長率を示すインドだが、地方部の56%の世帯(約4億人)は電力難民となっている。発展著しい大都市でも慢性的な電力不足で、予備電源を大規模なディーゼル発電に依存している状況だ。国民1人あたりのエネルギー消費量が2020年までに倍増するとの見方もあり、政府は炭素を排出せず電力を大量供給できる原発の必要性を強く訴えている。

「原子力は最も低コストでクリーンな電力供給手段だ」と、ジェイラム・ラメシュ前環境森林大臣は言う。

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◆代替案の模索

反対勢力は、1993年3月に北部のガンジス川のほとりに建つナローラ原発で起きた重大事故を引き合いに、原子力の危険性を訴える。この事故では高速蒸気タービンの翼が折れ、火災が発生。福島と同様に停電が起こり、炉心の過熱が進んでメルトダウン寸前まで達したという。

元駐米インド大使のローネン・セン(Ronen Sen)氏は、インド政府の原発プロジェクトを支持しているが、原子力エネルギーはあくまで解決策の「1ピース」と考えている。今後は化石燃料への依存を減らし、エネルギーの供給源を多様化させ、再生可能エネルギーなどにも投資すべきだという。

インド最大の複合企業体タタ・グループで持続可能性責任者を務めるアビナシュ・パトカール(Avinash Patkar)氏によると、再生可能エネルギーを効率的に利用するには、インド政府が電力の分散化に努めるべきだという。大規模送電網への依存から脱却し、電力の届かない地方部では小規模の発電システムを独自に構築する必要がある。「村々で起業家が立ち上がり、バイオマス、太陽光、風力、水力などを利用した発電システムを開発すべきだ」。

反原発活動家プリフル・ビドワイ(Priful Bidwai)氏によれば、原子力発電の必要性は減らすことができる。政府主導で規模によらず再生エネルギーを推進し、エネルギー効率を高めれば、大規模送電網への依存を抑制できるという。

現内閣で農村開発を担当するラメシュ前環境森林大臣も、電力需要の抑制は解決策の一つだという。「インドの人口は増加の一途をたどっている。電力需給の最適なバランスを見つけなければならない。今後、電力消費の新しいモデルはインドから生まれる」。

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