そして2時間後、彼は完成した自分の人生の絵地図をみながら、すっかり満足した顔つきになっていた。彼が今回つくった内面の地図には、彼が現在直面している問題や悩みや喜怒哀楽が記されていた。それらは複雑に縦横に重なり合っていたが、それを2時間にわたって溶きほぐす作業をしたのだ。あらゆる言葉は地図作りに役立つ。とてもいいワークショップだった。これから伸びていこうとする若い芽が、いろいろの方法をもって、たくましく伸びていくのを見るのははなによりも嬉しい。
人生では誰しも「いかに生きるか」で常に悩んでいる。苦悶している。そうしたとき、ほんのわずかでもいい。周りから深く考え抜いた言葉や行為で支え励ますことによって、人はどんなに元気になっていくことか? 若いころの自分がそうであったように、数々の人々から支えられ励まされてきているが、今度は私がその役をささやかなりとも果たしていきたいと思う。それは学校や諸外国だけでなく、あらゆる場所で・・・・
人生や社会の問題の解決のためには、まず問題をきちんと厳しく把握することだ。把握せずして問題のことを考えていると、それは大いなる苦悶となる。人は問題の全容を掘りだせないときには、悩みの暗い谷底に陥っていく。もし、人は問題を解決したいなら、事実を厳しく見つめ、言葉や文章や態度で勇敢に表現していくことだ。そうすると解決策は、すぐそばで微笑んでいるのを見つける。問題と解決とは、大の仲良しで親類同士なのだから・・・・・・
明日は聖心女子大での講義、また来週からは福島の被災地でのワークショップ、そしてその後は、ラオス・パキスタン・ミャンマーでの新たな子ども文化活動へと続いていく。さまざまな深刻な課題で苦悶している日本は若葉青葉となって、たくましい明日への希望を作っていかなければならない。
そのためにはまず日本が置かれている厳しい現実の課題を正視することから始まる。問題においてたくましい人間は、解決においてもたくましさを発揮する。
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