大学での最終講義で受け取った学生からの感想文

2018年6月22日

今日(2018年6月22日)は聖学院大学での最終講義の日でした。そこで今日は、「ヒューマン・リテラシーという、私自身がアジア地域の識字教育の中から作り出した「新しい教育哲学」とも云うべき話をしようと思いました。するとその時、中国の南京市からやってきた中国の女子留学生が、先々週に彼女に貸した「大亀ガウデイの海」の「中国語版を読みました!」と言って本を返却しながら、感想文をくれたのです。

それは小さな絵本のように創られた感想文で、びっしりと日本語で書かれた文章には可愛らしい挿絵も入っていて、私はこのような心のこもった感想文に飛び上がって喜んだのです。今までこんなに美しい感想文などいただいたことはなかったからです。早速彼女の許しを得て、クラスのみんなの前で感想文を読み上げることにしました。みんなと早速シェアしたかったのです。読み進むにつれてその内容のなんという素晴らしさ、認識の高さ、美しさ、彼女の話し方は、まだたどたどしいように思えていましたが、彼女の書いた日本語は完璧です。すごいな!!

しかも環境について、太平洋の生き物について、核環境について、物語について、これだけ深い考え方で、この物語を読んでくれていたことに深く感動したのです。「ああ、物語を書いていて良かった。」「教師をやっていて良かった」と思った今日は大変嬉しい日でした。



<大亀ガウディの海>ー中国の留学生による感想文
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水族館で30年間暮らした大亀ガウディの大脱走物語。現代の海の環境の中に生きる自然の生き物たちを、一匹の海亀を通して人間社会を寓話的に描いています。この地球は人間だけのものではないのに、人間によって生態系は乱され、それにより人間も自分の首を絞めることになります。

「大亀ガウディの海」の絵本は、心の奥底に響く大変すばらしいものでした。どこでどう生きるのかを選択する物語。大自然への郷愁と中ブリくんとの友情から始まる物語。水族館に住む海の生き物たちの考え、価値観、人間観にもリアリティがあり、現代社会がユーモアとアイロニーたっぷりに描かれていて、どんどん物語の世界に惹き込まれていきました。弱肉強食の自然の摂理、地底や海底で繰り返される爆発実験により海の生物たちはほとんど絶滅しています。

この作品は、人生に対する考え方、知恵が表現されていてドキッとしました。そして本物の海に戻ったガウデイが変わり果てた自然や海を見た時の驚き、嘆き、苦しみ、自分の中にあるエゴと葛藤、心の揺れは現代を生きる多くの人が感じていることでもあると思います。
私はこどもの頃から、人と違ってどこか変、おかしい、ダメだと感じていて自分を表現できずにいました。作られたものばかりでピッタリくるものがなく、本物が見たい、真実を知りたいと思っていました。

この絵本が書かれた後に東北の震災があり、福島原発問題は未だ解決どころか迷走を続けています。私自身環境問題にとても関心を持っていました。中ブリを呑み込んでひとりぼっちになってしまったガウデイが、痛みとともに自分を見つめ、周りにあったものの存在ややさしさに気づいて感謝し、仲間を大切にする心が生まれていく姿は身につまされました。爆発実験の場面にさしかかって、緊張と静かな熱がこもり、一瞬の間の後、ガウデイが実験阻止のために飛び出しました。同時に私の中でも核実験を阻止したいという強い気持ちが湧きおこって心のボタンを押しました。
「あああああああ・・・・・・・・」
ガウデイの叫び声が、こだましています。生命の樹、現代を生きる人々の希望の樹・・・「大亀ガウディの海」の根底に流れているテーマ。「宇宙、自然、人間を含めて、生き物たちはみんなつながっている」。

この絵本の原作を書いた先生は、これまでにも「びっくり星の伝説」や「沈黙の珊瑚礁」などの作品で、現代の科学技術に警鐘を鳴らし、核兵器や原発の恐ろしさを早くから予言しています。「どんな困難な状況にあっても、自分で未来を創り出すことが大切」等に共感します。人間の想像力、物語のもつ力を信じます。


* この当時には、翻訳出版は台湾から翻訳出版された中国語版でしたが、現在この本は、中国の山東教育出版社から翻訳出版されています。




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