日本人は、世界のすべてのものを持っているが、ただひとつビジョンを持っていない。

あるドイツ人が日本人について言ったそうです。「日本人は、世界のすべてのものを持っているが、ただひとつビジョンを持っていない」と、笑わせます。ドイツ人にしては出来過ぎたジュークです。しかしよく考えてみると、日本人はビジョンを持っていなかったのではないのです。 戦後70年「日本国憲法」という世界に誇る平和のビジョンを持っていたのでした。しかしこの憲法は、「自分で作ったものではなく、与えられたものではないか。」などいろいろ陰口をたたかれてきました。 そういう意味では、戦争放棄の九条を持つ「平和憲法」が、果たして日本国民自身によって生み出され、育てられてきたものかどうか、今その真価が問われる絶好の機会になっているものと思います。そのため、日本の老若男女すべての人々が、この美しいビジョンを、自分たちのものにするため、炎天下国会前で頑張っているのだと思います。 もしも、これを守れなかったら、ドイツ人のいうように、「日本人は、世界のすべてのものを持っているが、ただひとつビジョンを持っていない」と言われても仕方がないでしょうね。「試練を経ないビジョンは、ビジョンとは言えないのですから・・・・」

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政治家という動物

政治家という動物は、古今東西、人文科学―特に芸術・文化・文学などの本質的な意味が全くわかっていませんね。彼らの関心は、常に権力ですから・・・かれらは、いつも人文科学によって批判されたり、芸術家によって笑われたりしていると思っているのでしょうか。それは自然科学者の客観性と、人文科学の客観性とは、よく似ているようでありながら大きく違うのです。この両者は、相互にバランスによって均衡をとり、学問の進歩を目指すのですが、あえて言えば、原爆も原発も、自然科学者たちが、政治家・経済界・軍事界との一方的な繋がりの中でのみ開発しているものですね。そこには哲学者や芸術家の存在などは全く皆無です。安倍政権は、人間や社会を盲目にしていくような発想ですから、政権にイエスをいう人間のみが必要なのです。人文科学は、イエスマンを育てるのではありません。多様性と世の中の真実を育てるのが目的なのです。それに比べ、自然科学者には、イエスマンが余りにも多いですね。なぜでしょうか?これは現代の最も深刻で大きな課題です。 イラストは、A.ラマチャンドラン(インド)大亀ガウディの海より

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1945年長崎への原爆投下で被爆、1951年に亡くなった永井隆博士がその子らに贈った『いとし子よ』

「いとし子よ」 「戦争が長びくうちには、はじめ戦争をやり出したときの名分なんかどこかに消えてしまい、戦争がすんだころには、勝ったほうも負けたほうも、なんの目的でこんな大騒ぎをしたのかわからぬことさえある。そうして、生き残った人びとはむごたらしい戦場の跡を眺め、口をそろえて、――戦争はもうこりごりだ。これっきり戦争を永久にやめることにしよう! そう叫んでおきながら、何年かたつうちに、いつしか心が変わり、なんとなくもやもやと戦争がしたくなってくるのである。どうして人間は、こうも愚かなものであろうか?私たち日本国民は憲法において戦争をしないことに決めた。… わが子よ!憲法で決めるだけなら、どんなことでも決められる。憲法はその条文どおり実行しなければならぬから、日本人としてなかなか難しいところがあるのだ。どんなに難しくても、これは善い憲法だから、実行せねばならぬ。自分が実行するだけでなく、これを破ろうとする力を防がねばならぬ。これこそ、戦争の惨禍に目覚めたほんとうの日本人の声なのだよ。 しかし理屈はなんとでもつき、世論はどちらへでもなびくものである。 本をめぐる国際情勢次第では、日本人の中から憲法を改めて、戦争放棄の条項を削れ、と叫ぶ声が出ないとも限らない。 そしてその叫びがいかにも、もっともらしい理屈をつけて、世論を日本再武装に引きつけるかもしれない。 もしも日本が再武装するような事態になったら、そのときこそ…誠一(まこと)よ、カヤノよ、たとい最後の二人となって…

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原爆ドームの前を流れる元安川の清流を見つめる修学旅行生たち

広島の原爆ドームの前を流れる元安川の清流を見つめる修学旅行生たちー原爆が投下された直後は、無数の人々が焦熱地獄から逃れようと元安川へ飛び込んで溺れ死んだ。 広島へ投下された原子爆弾-リトルボーイ 長崎に投下された原子爆弾は、ファットマンー広島と長崎の原爆が異なったのは、米国による原爆投下は原爆実験であったから。 長崎に投下された原子爆弾ーファットマン

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人間とは何か?  

「動物には善も悪もなく、人間の最大の発明は悪の世界です。それは文化によってつくられた。文化は本や電気を発明した一方で、武器、原爆をつくりました。人間は文化を持つことで、自然から離れた。文化は反自然的です。そこに気をつけないと、ものすごく怖い」と霊長類学者の河合雅雄氏は述べています。霊長類学とは、サルの生態を研究することで「人間とは何か」を探る学問です。 彼はまた「人間はみんな緑が好きで、森に行くと安らぎを感じます。それは先祖がサルだから。サルは四千万年前から森の生活をして、上下左右全部緑の中にいることが遺伝子に入りこんでいます。人間は数百万年前に、森の外に出たのです」と語り、さらに 「サルは縄張りを持つのが原則で、非常に攻撃的です。チンパンジーは仲間を殺す。ところがゲラダヒヒには縄張りがない。順位による秩序が群れの基本と考えていましたが、ゲラダヒヒはお互いが対等なことで群れを維持していました。 サルには戦いを避けて、協調する系統と、攻撃的な系統があるんです。人間は両方の性質を持っている。戦争してむちゃくちゃをする一方で、愛とか平等を徹底的に説く。個人の中にも両方ある。必ず悪を持っているからなくそうとしてもだめで良いところを伸ばすべきです」と、東京新聞、6月14日「あの人に迫る」で語っています。 なるほど、霊長類学とは、<人間の生態を客観的にする智慧の学問>ですね。近頃の政治や軍事や文化の世界を見ると、人間は、赤いパンツをはいたサルだけに止まらず、「原爆や原発開発…

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中国西安での出版記念会と曹文軒氏の序文

2019年7月28日、中国の西安(古代の長安)にて、山東教育出版社によって3冊の寓話本の出版記念会が行われました。中国各地から作家や出版人が駆けつけて賑やかな出版記念会となりました。中国の作家たちの発言で気になったこと「中国には、これまで絶望的な結末や希望のない物語はほとんど存在しなかったが、あなたの作品は内容のほとんどに希望がなく戦争や死や環境破壊を扱っておりわれわれにとっては実に新鮮な驚きです。これは中国の若い読者だけでなく創作者にも大きな影響を与えるでしょう。現代中国は苦悶しているのです」 出版に際しては、関係者の皆さまに心から感謝申し上げます。西安は、古代中国の「長安」の都。古代より政治の中心地として、周から秦、漢から隋、唐と十数の王朝の都として二千数百年栄えてきた都です。日本文化に最も馴染みの深い都です。 これら3冊の物語の本の序文を書いて下さったのは中国のアンデルセン賞作家・北京大学教授の曹文軒さんです。序文は5ページにわたっています。翻訳は児童文学者の季穎さんです。 https://tajimaiclc.at.webry.info/202007/article_32.html 曹文軒氏の序文******************* 北京大学教授、前東京大学客員教授、国際アンデルセン作家賞受賞(2016年)   今年の一月、私は東京の小さいな居酒屋で田島伸二さんに会った。時間は長くではなかったが、話し合いを通じて、また彼の挙止と態度を通じて、彼…

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広島に投下された原子爆弾(リトルボーイ)小さな男の子、長崎は(ファットマン)太った男

「先生、……でも、戦争でも、子どもは殺されないよね?」 小学2年生の無邪気な質問に、私はこう答えました。 https://www.facebook.com/shinji.tajima.129/posts/2242309532452097 「あのね、戦争っていうのは、一人でも多くの敵を殺すことがいいことなの。戦争の時は大人も子どもも関係なくて、あなたが“敵”だったら、その敵の大人はあなたを殺すことをいいこと、と思って殺すんだ」 この会話は私が日本のいろいろな小学校で、人権や平和といった概念を元に英語の授業をしていた時、“難民”というテーマで授業を行った時に出てきたものでした。日本の子どもたちのナイーブさに驚くとともに、彼らがいかに“戦争”からかけ離れた生活を送っていることに感謝しました。が、同時に、遠く離れたリベリアやガザでは、戦争状態しか知らない子どもたちも大勢いること、ということに胸が締め付けられたことを記憶しています。(南アフリカー吉村峰子) https://www.huffingtonpost.jp/m …/war-children_b_7853220.html http://www.huffingtonpost.jp/mineko-yoshimura/ ******:: 現代の戦争は、古代や中世の戦争と異なって、非戦闘員や市民を殺すのが主目的です。こんなことを子どもが知ったら、「人間」存在に絶望するでしょうね! 人間は、進化しているように見えて、実…

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「嘘をつく首相や政治家たち」

政治家が「嘘をつく」ことは昔から伝統的に存在し、国民はある意味では馴れているとも言えるのだが、特に安倍首相が登場してからは、政治家の発言は一切が信じられなくなった。永田町が、常に「虚偽の暗雲」に包まれているのである。安倍首相は、秘密法案を通過させるためにどれだけ国民に嘘をついたか、戦争法案を通過させるためにどれだけ国民に嘘をついたか、共謀罪を通過させるためにどれだけ国民に嘘をついたか、平和憲法を壊憲するために、どれだけ国民に嘘をついているのか、モリカケ蕎麦の忖度だけではない。国会でいくら「丁寧に説明したい」と言っても、結局は安倍首相は「丁寧に嘘をつく」のだから、そこには真実は存在しない。そう、要は「丁寧そうに発言する」だけで真実とは全く関係ない政治家で、これほど丁寧でない人間はいない。 このような国家の指導者が出てくると、国民の精神や魂が大きく揺らいでくる。そのため、こうした環境から必然的に登場して精神的な立て直しをしたのが、前川前文科事務次官だ。かれは文科省の在任中に「その書類を見た」と発言しただけで一躍国民の大ヒーローとなった。元次官の彼が真実を述べたからである。通常、事務次官ともなれば、彼らが真実を述べるなどとは誰も思っていない。かれらは、首相や政府を守護する最高の行政官僚であるからだ。しかし国民は、安倍内閣が登場して以来、安倍首相から数えきれない程、嘘をつかれたり裏切られてきており、もう耐えきれなくなっていたのだ。アベノミクスにしても、稲田などの人材の登用でも安倍政治は無茶苦…

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太平洋にトリチウム原発汚染水を流すな!

目を塞ぎ、耳を塞ぐ日本人! 太平洋にトリチウム原発汚染水を流すな! 生き物や子どもたちの未来をすべて犠牲にするな!! 1000基以上の高濃度の原発汚染水をすべて流そうとする環境省と経産省! 無責任極まりないアベ内閣!誰だ?環境大臣は?絶対に許さない!!  アベノ ヤルコトワ スベテ ハンタイ アベノミクス アベノマスク アベノトリチウム 太平洋を殺すな!・・海の生き物を殺すな!  原発汚染水を太平洋に流そうとしている日本政府と東電 「日本政府は、コロナを殺さず太平洋を殺す!」 海洋放出するという高濃度の原発放射能汚染水タンクの総数は約1000基以上で、汚染水の貯蔵量は約100万トン以上。東電が、これらタンクの放射能汚染水を本格的に海洋に捨て始めると、いくら広いと言っても太平洋は間違いなく死んでいきます。絶対に反対です。全世界へ訴えましょう! 溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しの作業スペースなどを確保する必要があるとして、2年前、政府の小委員会は汚染水タンクを将来撤去する方向の案を了承しました。しかし汚染水タンクの中身は大半が放射性物質トリチウムを含んだ水で、現時点だと効率的に大量のトリチウムを除去する技術はありません。 結果的にトリチウム汚染水を海洋放出する形になると予想され、政府や東電は公聴会で住民側に理解を求め溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しの作業スペースなどを確保する必要があるとして、政府の小委員会は汚染水タンクを将来撤去…

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私は小学校時代、アイヌ民族の熊踊りを見ました。

   私が小学生であったその昔、中国山脈の田舎にある小学校での授業で、ある日、アイヌの人々の踊りや暮らしの紹介がありました。アイヌの人々3-4人が、まるで見世物のように、小学校に連れて来られて、子どもたちの前で憂えに満ちた悲しそうな表情で熊踊りをしたのです。 壁には熊の毛皮や生活用具が飾ってありました。私は驚いてじっと見つめていました。それは文化に対してではありません。アイヌの人々の悲しみの表情が、子どもたちに大きなインパクトを与えていたのです。アイヌの人々のおどおどした眼差しは、実は日本が国内の先住民族であるアイヌの人々に行ってきた差別丸出しの公的機関の文化活動から由来するものでした。 ここに紹介されたアイヌ文化のビデオを見ると、いかにアイヌの人々が優れた文化を持っていた(いる)かが実感できます。公的機関が推進してきた偏見や差別を助長する文化活動は、子どもの心にいつまでも差別意識を残していくものです。文化とは、いずれの文化でも最も光り輝く「本質的な文化」をとらえて伝えていきたいものです。 ここにはアイヌ文化の感動の粋があります。 https://www.youtube.com/watch?v=M4UdGIfA6Mc&fbclid=IwAR28CYNzmvpfeZ9_s2PS-mcDr899nwRlWhKt4KshRxiNGwgFL8kDj4qFd1w <素晴らしい民族の遺産があります> 現代世界をどうとらえるか?ー先住民族の立場から ー神々のうた ー大地…

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アクセス数が若干多かった記事

〇 星の王子さま」と「大亀ガウディの海」ー東亜日報の書評から  https://tajimaiclc.at.webry.info/200805/article_14.html 〇 陜川(ハプチョン)と大邱(テグ)で行われた8月6日の原爆慰霊祭  https://tajimaiclc.at.webry.info/202006/article_34.html 〇 息子3歳のとき発言記録。3歳児の発想はみんなおもしろい  https://tajimaiclc.at.webry.info/202006/article_35.html 〇 その昔、私は小学校でアイヌ民族の熊踊りを見ました。 https://tajimaiclc.at.webry.info/201811/article_1.html 〇 パキスタンで舞台化された[「孤独な狐」ー「コンキチ」 https://tajimaiclc.at.webry.info/202006/article_10.html 〇 全共闘運動とは何か?全共闘が求めたもの、遺したもの https://tajimaiclc.at.webry.info/200805/article_8.html 〇 2010年8月6日原爆の日、NHKから流れた「海ゆかば」 https://tajimaiclc.at.webry.info/202006/article_38.html 〇 日本はなぜ侵略戦争をしたのか?人間はな…

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大草原のモンゴルで識字ワークショップ開かる

1994年モンゴルに、ユネスコ(ACCU)識字教育ワークショップで出張しました。モンゴルの大草原は、想像していたよりもはるかに広大。その頃、モンゴルでは、ペレストロイカ政策が影響し、経済改革の嵐が全土を吹き抜け国内は混乱の極みに達していました。しかしモンゴルの大草原は、はるか遠くの雨雲の下まで限りなく広がっていましたね。 この絵は、1ドルで買ったものです。   私は大草原を馬に乗って思いきり疾走・・(とはいきませんでした。(笑)落馬すると危険だからと言って、村人たちが最初、手綱をなかなか手放してくれなかったのです(笑)ですから、すぐに思い通りにはいきませんでしたが、それでも徐々に慣れて、大草原の風に乗って乗馬を思いきり楽しみました。   草原で出会った老婆に、暮らし向きを尋ねたら、「これからは財産がみんな個人所有になると言うので、みんなで家畜を分配したが、自分は働きが悪かったと言って、結局1頭の馬ももらえなかった。」と、彼女は一気にしゃべったあと、途方にくれたような悲しそうな表情で、草原の彼方を見つめました。                 パオひとつ 大草原に雨がふる       伝八

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日本が直面する未曾有の自然災害+人的災害

人類の歴史の中で、日本人ほど大きな自然災害や人災に見舞われた民族はどこにもいない。またその中からきちんと学んで反省していない民族も世界にはいない。もし日本人と同じような体験をした民族が、どこかにいると思うなら、遠慮なくご指摘下さい。100年ごと、いえいえ30年ごとに繰り返される日本の大地震、そして大津波など自然環境は世界歴史の中でも最も過酷で凄絶なもの。そして今、コロナウイルスの攻撃に遭っています。  また日本人の人災は、自然災害をはるかに上回り、過去には侵略戦争の結果、原爆被爆を二度も経験したり、さらに福島では3基の原発炉心がメルトダウンするという世界にも全く存在しない非常事態が進行している。しかしこうしたことに日本の政治も経済も文化も全く懲りずに、原子力ムラを中心とする利権団体とともに、巧妙な仕掛けで「再稼動」なるものを目指している。これはすでに明確なる犯罪集団だ。最も愚かな首相に率いられて・・・・これまで原発神話などを天から、あるいは文科省などから振りまいては、人々を平気で騙してきた政府や東電は、今再びオリンピックの光の陰に隠れて、再稼動を始めている。 まただれも想像も計測もできないほどの高濃度の放射能汚染水を、無限に太平洋に垂れ流ししながら、なんの抜本的な対策も立てられない政府や東電の無能力・技術、すでに絶望的なのだ。「これ以上の原発稼動は日本では不可能」という結果が出ているが、日本人はどうしても政治を自分たちの手や力で動かす事ができない。かくしてこれからも人類が経験し…

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シルクロードを旅してインドへ遊学。学んだこと考えたこと・・・・

若い頃、インドに遊学していた理由は、実はインドの詩聖とも呼ばれるロビンドロナート・タゴールが設立したシャンティニケトン(平和の地)の学園 Visva-Bharati University で、哲学を学ぼうと考えていたのです。その地では大きな菩提樹やバニヤンの木の下で、生徒が円形になって師の教えを聞きながら伝統的な授業がおこなわれているというのです。そこに教育の理想があるのではないかと思ったのです。1968年頃からの学生運動に疲れ果てて、真実なる人生を模索している時期でした。 ドイツのミュンヘンでの1年間の遊学を経て、2ヵ月かかってシルクロードを陸路で縦走、トルコ、イラン、アフガニスタン、パキスタンを経てインドに無事に到着、私は西ベンガル州のタゴール国際大学のあるシャンティニケトン(平和の地)の地で、大学院哲学科に籍を置いて、2年間暮らしました。文字通り遊学でした。仏教大学から博士課程に籍を置いていた田中さんには、ずいぶんお世話になりました。 滞在中、二階の窓から見えるロトンポリの砂漠状の大地を見ながらいつも夢想しながら書いた物語は「さばくのきょうりゅう」という作品でした。(絵はカン・ウーヒョン)この物語は日本では講談社から、そしてインドでは15言語で翻訳出版され、アジアではほとんどの国で翻訳出版されました。これは砂漠をいくラクダの隊商の仲間たちが、油の売上をめぐって権益争いをする話。この内容は中東の現在の争いと酷似していたのです。 考えてもみれば、シャンテ…

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韓国のハプチョンで開かれた原爆慰霊祭

2016年8月6日、韓国で四番目に大きな都市大邱(テグ)で、ハプチョンに続いて韓国人・朝鮮人の原爆慰霊式が行われました。戦争中、広島と長崎で徴用された韓国・朝鮮の人々が原爆で4万人も亡くなっていたのは実に大きな衝撃でした。ほとんどの日本人は、こういう事実を知りません。 私は日本からの日韓反核平和巡礼の18名を代表して挨拶を要請されたので、(1)私自身が戦後の広島出身であること(2)広島市へ救援にでかけた近所の人々が被ばくして、原爆症で長く苦しんでいたこと。(3)今は、子ども向けの創作などを書いており、韓国でも7冊の本が翻訳出版されていることなど織り交ぜてお話しました。そして最後に、慰霊式に参加されている市民の方々に、「私は戦後広島生まれで、戦争は直接体験はしていません。しかし多くの日本人は、日本がかって韓国を侵略し、多くの人々に凄絶な苦しみを与えたことに本当に申し訳なく思っています。一部の政治家を除き、みんな日本人は、心から謝罪したいと思っています。私も謝罪したいと思います。」と述べてスピーチを終え、壇上より下りたとき、一人の中年女性が近づいて来ると、なにか大声で叫んだのです。 そして話が続いたので、私は通訳をされた崔勝久さんに「いったいなんて言われたのでしょうか」と尋ねたら、「あなたは本当に日本人か? 私は日本人が謝罪するのを初めて聞いた。私はリュウというものだが、戦争中には家族が二人も殺されている。もしあなたが日本人だったら土下座して謝れ」と言っているというのです。「いいで…

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上村肇(かみむらはじめ)という社会思想家の語ったこと、生きたこと

1970年頃から1990年にかけて、上村肇(かみむらはじめ)という社会運動家+社会思想家+文学者が活躍していた。かれは「創造的社会論」という新しいアイデアを掲げて、常に孤軍奮闘しながらも、若者たちを暖かい眼差しで見つめて叱咤激励していた。彼は自らの生き方を通じて、激動の状況の中で人間を通して、人間や社会の彫刻を行っていたのだ。 あるとき私は、上村氏に、「あなたは創造という言葉をよく口にするが、あなたが言う創造とはなんのことですか?どのような行動をもって、人間は「創造」といえるのでしょうか?」と質問をしたことがある。すると彼は、すぐには私が満足する答えをくれなかった。彼は長い間沈黙していた。しかし後年、彼が自刃し、遺書となった彼の本のなかの文章に、「創造とは人の心のなかに灯をともすことである」と記しているのを見つけた。私はその言葉に大いに驚き、そしてその答えに心から満足した。そして彼の死を深く悼んだ。 私はそれ以来、アジアや太平洋各国での教育の仕事に従事するとき、話の中で、彼の言葉をよく引用させていただく。創造とは、決して芸術世界や経済世界での限られた言葉ではなくして、今日の世界で最も必要な人間同士の関係を作りだす「人の心に灯をともす」本質的な行為を意味しているものだ。クリエィティブとは、「閉塞された人間関係を解放しながらあたかもキリストやブッダのように、人の心に火をともす行為を意味している。 彼は言っている。 「・・・私は、自分がたとえどのような状況に追い込まれようと、…

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あなたの耳がすごいんだよ。

   1994年に死去された森滝市郎氏(広島大学名誉教授)は世界的に知られた著名な平和運動家でした。彼は冷戦時代、米ソの核実験や戦争に抗議して、長年広島平和公園で座り込みしながら、自らの被爆体験を語り、核廃絶のために全力を尽くされた生き方は、被爆都市ヒロシマの象徴でもあり、広島市民の誇りでもあったのです。   あるとき私は、森滝市郎さんの講演を、友人の碓井真行氏(光明寺の住職で、独特の世界を表現する魂の画家)の牛田の光明寺で聞くことがありました。森滝さんの話は実に生々しく、広島高等師範学校(現広島大学)教授として、三菱重工・江波造船所に動員されていた折に被爆した体験(44歳)ー爆心地からは4キロ離れていたが、右目に窓ガラスの破片が突き刺さり片目を失明。こうした被爆体験などを語られながら、人間の教訓として得たものー「人間ほど愚かな存在はいない。馬鹿と言ってもこれほど馬鹿な存在はいない。核と人類は絶対に共存出来ない」と話をされ、私は大きな感銘を受けたのでした。 そこで講演会のあと、「先生!すばらしかったです。とても感動しました。」と感謝すると、森滝さんは、私の方をじっと見られて、「・・・・・・私がすごいんじゃあないよ。あんたの耳がすごいんだよ。」と謙遜されて答えられたのでした。 それを聞いて私は「あんたの耳がすごい」と指摘されたことに思わず嬉しくなったのです。先生を誉めたつもりだったのに、私が誉められた。これは悪い気持ちはしない。でもよく考えてみると、森滝さんは「わたしのつまら…

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大型開発とはなにか?

   この「リニアモーターカー」は、現代の日本の深刻な病理を全部背負っていますね。これが稼働するには、原発が5基必要と言われています。これは原発が乱発建造されていた時代の遺物なのです。しかし、原発が大幅に稼働しないと、全く動かないのです。この深刻な課題は、いつ日本国民に提起するのでしょうか?かっこいいとは思いますが、余りにも高価すぎて米国を初め、諸外国で導入する国は見当たりません。また原発による膨大な放射性廃棄物も捨てるところがなく、海へ捨てたり、農地に再利用したり・・・日本災害列島の巨悪の典型的な存在です。それで大阪―東京間がどれだけ短縮されるのでしょうか?1時間29分かかっていたのが、1時間・・・わずかに29分です。このような日本人の生活を殺して食べてしまうような大型開発は、本当に日本にとって必要なものでしょうか?中国の世界一と言われる「三峡ダム」も現在、豪雨によって深刻な危機に見舞われています。 https://www.facebook.com/photo.php?fbid=3701276596555376&set=a.456985940984474&type=3&theater

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存在という多様性について

これが存在というもの、生き物というものの多様性です。どんなに威張ってみても、私たちはこの中で「人間」という1種類だけの存在です。 https://www.facebook.com/…/a.1015180952…/10156360724156772/…

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「識字は文学を通じて形成されるべき」

人間が発明したものの中で、文字(識字)というのは実に不思議なものです。文字は、知識や情報を簡単に貯蔵する事ができるし、簡単に加工することも、時間や空間を越えて世界に即座に伝えることもできます。文字は人間の思考や活動を記録したり、人々の表現やコミュニケーション能力を育て、現実社会を大きく変革させる原動力ともなってきました。現代の文明はそのおかげです。 しかし、現在、全世界の成人のうちなんと十億人もの人々は、この文字の読み書きが全くできず、未識字者(非識字者)と呼ばれている。戦火にあったアフガニスタンやカンボジアは、世界で最も識字率が低く、農村地域のほとんどの成人ー特に女性たちは全く読み書きができない。そして現在世界では、経済面だけでなく世界の識字者と未識字者との間に、知識や情報の巨大 なギャップが生じており、未識字者の三分の二は我々のアジア地域に集中している。貧困と識字は、密接な関係にあり、識字率の低さが、主要な貧困を作りだしているのは紛れもない事実である。そのため識字率を高めようと、人間社会はあらゆる努力を傾けてきた。 では識字力があればすべて世の中の問題が解決するかというとそうではない。広島に生れた私はこの頃、人間の進化や発展について、ひどく否定的な気持ちとなっている。特に2011年、日本で起きた3.11の福島の凄絶な原発事故を経験してみると、われわれの文明は光やエネルギーを求めて、膨大な知識や情報、そして最先端の科学によって豊かな社会を求めてきたが、その多くはすべてが悪夢の…

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お空を泳いだ雲が見た!

「あるとき、私は、ビルマ(ミャンマー)のチン州の山の中にある小さな村を見つめていました。」と高い空を泳いでいた雲が言いました。 「その山々は言葉にもならないくらい見事なチークの林に覆われていました。そして、この地域には50以上の少数民族の人々が住んでいました。「でも、人間って不思議な存在ですね。ちょっと言葉や生活のしかたが異なるだけで、すぐに人間は差別を始めるんですからね・・・・・私たち大空に浮かぶ雲は、どんなに形が変化しようとも、雲はいつまでも雲なのに。元はと言えばみんな水なのにね・・・・・・」 と大空の雲が話を続けました。 「今日は、私が見たお話をしましょう・・・ビルマのチン州の深い深い山奥に貧しい村がありました。その村に住む一人の若者は生活に疲れていました。いえ彼だけでなく村に住む若者はみんな生きる希望を失っていました。。ビルマの貧しい生活に疲れていたのです。」 と雲は語りました。 「俺はもうこんな山奥に住みたくない。」と若者は大きな声を出して言いました。 「村にはなんの仕事もない。この国の軍人はすべてを独占し、俺たちの自由を奪った。俺たちには、もうなにもできない!!いつまでたっても、この貧乏から抜け出せない。俺たちの目を奪い、口を塞(ふさ)ぎ、耳を閉いでしまった。なぜビルマは豊かにならないんだ。なぜ奴らは俺たち少数民族を馬鹿にするんだ。俺はこの山を下りよう。これから大きな町に出て会社員になる。給料取りになるんだ。もう山の中は嫌だ!」 若者は、涙を流して制止する…

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世界中の放射性廃棄物のゆくえービデオより

原発からの高濃度の放射性廃棄物の最終的処分は、まだどの国も確定していない。日本では多くの人々の反対も無視する形で強行しながら、全国の自治体にばら撒いているいるのが実態だ。要するに解決ではなくて拡散しているのが実態だ。将来の日本が放射能まみれになってしまうことをよしとしているのだ。この7本のビデオは、世界中の原発から出てくる放射性廃棄物の処理の方法がすべて行き詰っていることを明確に示している。放射能は永遠に続く悪夢。日本の六ヶ所村での再処理施設の完成などは、夢のまた夢であり、住民を巨費を投じて騙していることがよくわかる。再処理のもんじゅなどが稼働したら、地獄行きとなるのがわかる。原発の再稼働は絶対に許してはならない。 再処理を最先端で行っているのは、国内の80%の電力を原発でまかなっているフランスである。フランスは、再処理施設から出てくる放射性廃棄物はロシアへ送ったり、冷却水などはすべて英仏海峡(ドーバー海峡)に棄てている。それはすべて安全基準だというが、その安全基準は、驚くことに広島と長崎のヒバクの実態から作られたもので、原発の実態から導き出されたものではない。原爆は、瞬時にして莫大なエネルギーを作り出し多くの人々を殺傷し、後には高濃度の放射性廃棄物を生み出すが、原発は毎日、膨大なエネルギーと莫大な放射性廃棄物を生み出しており、それが生態に与える影響は余りにも怖ろしいものがある。人類の生命の浮沈にかかわっている。 原発が多く作られていた1960年代、世界中で原発からの放…

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気になる腹ぺこ青虫

小さな山椒(サンショウ)の木の葉に、アゲハチョウが飛んできて、卵を産みました。そしてある日、その卵から、小さな小さな青虫が誕生ーやがて小さな青虫は、せっせせっせとサンショウの葉を食べて、あっという間に大きくなっていきました。 しかし青虫が夢中でサンショウの葉っぱを食べてしまったので、小さなサンショウの木には、もう葉っぱが1枚もなくなってしまったのです。小さなサンショウの木は、まるで身ぐるみはがれてしまいました。腹ペコ青虫の表情を見ると「困ったな、これからどうしよう?まだサナギになるには早すぎるし・・」そんな困った感じに見えました。 この子どもは、ものすごい腹ペコ青虫・・・そこで私は、お店から、たくさん青い葉っぱのついている小さなサンショウの木を買ってきて、そばにおいてやりました。「青虫さん、はい。どうぞ!たっぷり食べてくださいね。丈夫で健康なサナギになるために・・」 しかしどうしたことでしょう。青虫は、私が買ってきたサンショウの木には見向きもしません。毎日なにも食べずに、それから突然、全く動かなくなったのです。いったいどうしたのでしょう。そしてしばらくすると、青虫の姿は消えていました。 もうサナギになるためのサンショウの葉っぱを十分食べることができたのでしょうか、あるいは、サナギになるためにどこかに移動したのでしょうか、そしていつか、アゲハチョウになって舞い戻ってくるのでしょうか、どうも青虫の心理も行動もよくわかりません。(笑) もしなにか進捗があったら、この…

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インドの著名な女優にして映画監督のナンディータ・ダス来日

       7月7日の今日は、インドの著名な女優にして映画監督のナンディータ・ダス氏 Nandita Das が来日、東京外国語大学にて彼女の「マントー」という二作目の彼女の作品が上映された。表現の自由を貫き、抑圧する社会と闘った人気作家マントーの生涯を描き、インド・パキスタン社会について「猥褻罪」を通じて深く考えさせる映画であった。彼女のお母さんVarsha Dasを通じて高校時代からよく知っている私にとっては、このような深刻なテーマを追い続けている彼女の存在には、大いなる驚きであったが、映画にとっても、「性」と「宗教」と「体制」という最も難しいテーマに真正面から敢然と挑戦しているナンディータの姿には、さすがインドの映画界の最高の花と称賛せずにはおられない。すごいな。「将来は路上で生きている人々のためにNGOで働くの」と夢を語っていた頃を思い出す! 2019年7月7日 https://www.facebook.com/shinji.tajima.129/posts/2799668680049510

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識字教育でパキスタンにでかけて、なぜ私は紙漉きを始めたのか?

1998年、パキスタンで寺子屋式の小学校を訪問調査しているとき、私は全国各地で大勢の子どもたちに会ったことがある。あるとき、私はタール砂漠に近い寺子屋学校を訪問していた。彼らは大きな瞳を輝かし、私に好奇心をもっていろいろな質問をしてくる。そこで私も子どもたちに 「どんな教材が一番欲しい?」と尋ねてみた。 すると、子どもたちは一斉に大声で「コピー」と答えた。 「コピーとはいったい何だろう」初めはなんのことかわからなかった。というのも寺子屋学校は貧しい子どもたちが通うコミュ二ティ・スクールなので電気も机も窓もないところが多い。 「コピーの機械にしては、電気は来ていないし、コピーとはなんだろう?」そこで通訳に聞くと、コピーとは「紙やノート」を意味していることがわかった。 インドやパキスタンなど南アジアの子どもたち(5才から14才)は、通常、羽子板のようなタクティという板版に白土を塗っては乾かした上に、水に溶いた墨の粉インクを竹ペンにつけて書いている。これは何度でも書き直しができるので、随分便利なものだと思っていたが、反面次に書くときには塗り直さなくてはいけないので、実にやっかいなところもある。冬の寒い時期、たくさんの子どもたちがこのタクテイ(板版)を塗り直すために小川で洗っている風景を目にしたが、実に寒そうだった。しかも冬日なので土で塗り直してもなかなか乾かない。学校の前には、太陽の陽射しで乾かせているタクティをよく見かけた。 そこで私は、「みなさんは、タクティというとても…

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「日本には世界に誇るものはたくさんあるが、ビジョンがない」ー未来のつくり方

    かって私は、2005年頃、軍政下におけるミャンマーで、雑誌のインタビューを何度か受けたことがあります。長時間のインタビュー記事が掲載された後、編集者に反応を聞いてみると「読者からはかってなくいい反応がありました」と大変喜んでくれたあと、「検閲はたった1か所だけでした」というのです。「それってどこでしょう」」と尋ねると「社会の事実や真実を、次世代にきちんと伝えていくことが大切だ」としゃべったところはすべて削除されたとのこと・・・「なるほど」軍事政権とは、いつも事実や真実を伝えていくことを極度に恐れていると痛切に感じたことでした。 原発ゼロ社会を達成したドイツのある専門家が、「日本には世界に誇るものはたくさんあるが、ビジョンがない」と言いました。ビジョンがないということ、それは「日本人は、刹那の時間内でしか具体的に物事を把握できない民族」だということですね。つまり50年後や100年後など未来へ向けての日本人の生き方の時間空間を描けないということです。確かに近年、日本には、ビジョンらしいものは全く生まれていません。その理由は、現在形は余りにも忙しく、過去にも未来にも目を向ける時間的な余裕が全く無かったということもありますが・・・なぜビジョンが日本に生まれないのでしょうか? その答えは明瞭です。未来とは、現在から描くものではなく、過去の膨大な時間の中から描いていくもの、誕生していくものであるからです。考えてみると、日本は歴史問題に限らず、自分たちにとって忌まわしい体験はすべて忘却…

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ミャンマーの民主化がもたらしたものー2015年

2015年2月、10年ぶりにミャンマーを再訪した。それはミャンマー作家協会とシャンティが共催した絵本作家を対象とした研修ワークショプに招請を受けたことによる。久しぶりのヤンゴン、⒑年前と大きく変わっていたのは、ほとんどの若者たちがスマートフォンを持っていたことだ。人々の表情がとても明るくなり、そして特に若い女性たちの表情やファッションなどもバンコクなどとほとんど変わらないぐらい快活で明るくなったような気がした。アウンサン・スーチーさんが国政に復帰し民主化がもたらしたミャンマーでは、みんなが自信をもって生きているように感じられることだった。 車は日本車がますます増えていたが、信号機が普及していないので、さらに一層交通地獄が酷くなったこと。またエレベーターに乗ったときは、突然の停電に遭遇し、真っ暗闇のエレベーター内に1時間も閉じ込められたこともあったり、帰国する際には空港で、飛行機への搭乗直前に停電が発生、空港のロビー全体が暗闇に包まれるということも起きた。現在は、日本企業の進出が著しいミャンマーで、電気のエネルギー源に「原発を輸出しよう」という動きが日本の企業体などからあるようだ。原発の推進側は、原発エネルギーは、二酸化炭素を放出しないクリーンエネルギーだと嘘を言って、日本企業が積極的に環境問題と絡ませて推進しているようだ。その先頭にたって旗を振っているのは雇われ東大教授だと噂されていた。 海岸地域でマングローブの植林を行っているミャンマー人のNGOの友人は、真剣な顔をして、「使…

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教室に虹を!

ある日私は、ミャンマーの山奥にある小学校の教室の天井に、「虹」を映し出してみました。それは教師から借りた小さな手鏡をバケツの水の中に入れて、太陽の光を反射させるだけのもの。 しかし子どもたちの驚きようといったらありません。見て下さい。彼らの真剣な表情!そのあとの授業から、子どもたちは自分で自分の虹を作ろうと必死になって、それから子どもたちは「なぜ雨上がりの空に虹がかかるか」を知ったのです。みんな自然科学が好きになったのです。小さなことでも、子どもたちには大きな感動となります。 これは、私がミャンマーで行っていた100レッスンの中の科学実験のひとつ。さまざまな新しい実験授業を子どもや先生たちと行いました。

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カマボコの秘密

1980年の国際児童年を記念して、アジア・太平洋地域の15カ国から児童書の代表的なイラストレーターを東京に招聘して、ユネスコ(ACCU)でセミナーを開催したことがあった。いずれの参加者も個性は強く、実に楽しい方ばかりだった。英語のコミュニケーションはみんなうまくはなかったが、絵を通じての豊かなコミュニケーションは、実に愉快で有意義なセミナーであった。 初日のこと。数カ国の参加者と連れ立って昼食に一緒に行った時、人民服を着た中国から参加したT氏は国民的に著名な漫画家でもあるが、テーブルの上に並んだ食べ物を興味深そうに見つめながら「ちょっとお聞きします。日本の食べ物の中に、小さな板きれの上に乗っているおいしい食べ物があるそうですが、いったい何でしょうか?」と尋ねてきた。「小さな板切れに載った美味しい食べ物?」私は一瞬とまどったが、板の上に載っている日本の食べ物?というのは「おそらくカマボコだろう」と思って、「ひょっとしてカマボコ?」と答えると、彼は破顔一笑、「そうです。そうです。カマボコです。思い出しました。」といかにもうれしそうに大声で答えた。そこで昼食後、私は早速近所のお惣菜屋さんを紹介した。彼はカマボコを何本も買った。 3週間のイラストレーターのセミナーも終わって、帰国準備をしている氏を見送りにホテルに訪れると、氏は熱っぽい目つきでじっと私を見つめたあと、通の手紙を差し出した。私は驚いた。「お礼を言うのなら、口で言えばいいのに・・・どうして手紙をくれるのか?」とも思いながら…

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子どもを生かす言葉、人間を生かす言葉、先生のひとこと

   子どもはたった一言で、立ち上がれないほど深く傷つくことがあります。それは大人も同様ですが、特に子どもの場合は、人生経験が少ないだけに言葉による損傷は大変甚大なのです。現代の子どもは、いかにも平気な顔のように見えますが、実は満身創痍、体には、無数の言葉の矢が突き刺さっていることがあります。大人からの信じられないような言葉、無慈悲な友人の言葉、がっかりさせる両親の言葉など、これまでに体験したことのないショックの言葉など、全身にまるで鉄砲の弾や矢のように、言葉が深くつき刺さっているのです。しかしこうやって人は成長していくのですが・・慣れという体験を余り持たなかったときには大変です。  周りから「死んでしまえ」と言われても 約80%の子どもは心の隅で笑い飛ばして自己防衛ができるのですが、約20%の子どもは自己防衛ができずに時と状況の中で「本当に死ぬ」ような局面に陥るのではないかと思います。子どもにとって、死は決して遠くにあるのではないようです。とくに子どもは、自分がどのように他人に見られているか、どのように他人に表現されているかを非常に気にしている存在で、それだけに自分の欠点や問題点を友だちに言いふらされたり、ネットに誹謗中傷を書き込まれ勝手に流布されたり、肉体的精神的に侮辱されたときには、子どもの思考や精神はだれであっても崩壊の危機に直面するのです。 特に子どもの場合、敏感な感覚が異常に損傷して、生涯にわたって心の深層に深い痛みを形成していくのです。人間はいつも自分のことを考えて…

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地雷で片足を失くし自殺を図ったアフガン少年の舞台

20年前、私はパキスタンのイスラマバードで連邦政府で、JICAの識字教育アドバイザーをしていましたが、その頃親しくしていたアフガン難民の家族から、なんとフェースブックを通じて連絡があり、早速映像を見ながらお互い積もる話をしました。なんと感激したことか。彼ら一家が、パキスタンからアフガニスタンへ帰国してから連絡が取れなかったので、大変心配していたのでした。 そのアフガン難民の家族の父は昔、カブールで薬剤師をしていましたー内戦の激化を避けるため、妻1人、娘3人と息子1人を連れて、カブールからイスラマバードへと避難していたのです。一般的にアフガン難民の人たちは、適当な職業も得られず、収入もほとんどないので、生活自体はとても厳しいものです。その頃、パキスタンには数百万人の難民が方々のキャンプで暮らしていました、 その頃、私はユネスコを通じて、アフガニスタンの雑誌編集長と知り合いましたが、彼はタリバン体制を批判する雑誌をパキスタンのペシャワールで刊行していました。ある晩、彼がイスラマバードの家にやってきた時、夕食後、「これまで編集した記事で、一番読者が感激したのはどのような記事でしたか」と尋ねると、彼はすぐに「それは、将来サッカーの選手になるんだと夢見ていた少年が、校庭に埋められた地雷の爆発で、足を切断、それを悲観して2階から飛び降り自殺を図った記事でした」と答えました。夢見る子どもたちの未来を、すべて壊していく戦争程、怖ろしく悲しいものはありません。 そこで私は早速「青い空の下で…

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「さばくのきょうりゅう」の絵本についての物語

「さばくのきょうりゅう」(講談社)の絵本は、その昔、インドの西ベンガル州で暮らしたときに創作した物語です。当時、私は詩人で哲学者のロビンドロナート・タゴールが設立したインドの大学に在学していたのですが、学校にはほとんど行かず、毎日ベンガルの砂漠に住む貧しい子どもたちと一緒に「さばくの学校」を開いていたのです。 家の前には、広い砂漠のような干からびた土地がどこまでも広がり、高いやしの木が風の中でうなっていました。私は毎日、この光景を見ているうちに、この砂漠で「油の売り買いで争っているキャラバン(隊商)」をイメージして「さばくのきょうりゅう」という物語を書いたのですが、それが絵本のかたちになったのは、インドから帰国してユネスコ(ACCU)の仕事に従事していた1986年のことです。 東京の自宅に、韓国のデザイナーのカン・ウーヒョン氏を招いて一緒に飲んでいたときのこと。カンさんが突然「一緒に絵本をつくりませんか」と言い出しました。「いいですよ」と承諾すると、彼はこの物語「さばくのきょうりゅう」の物語の絵を描き出しました。ものすごい没入、そして彼はかってないような大作を描きました。そしてこの絵本は、国際的な絵本コンクールなどで大賞や金賞を次々と射止めていきました。後にインドでは14言語版で翻訳出版されましたが、2013年、インドの国際出版セミナーに参加したときに、この物語を「インドの教科書に載せよう」という多くの声を聞きました。 この物語は、油をめぐって戦いの続く中東地域を表現して…

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モンゴルの雲の下で

1994年、私はモンゴルの雲の下で、大草原の豪快な食事をしたことがあります。おそらく大陸を制覇したジンギスカーンもこのような食事をしていたのでしょうが、それは1頭の山羊の肉を鉄の容器にいれて料理する食事です。 まず鉄の容器に山羊の肉を入れ、その上に熱く熱した小石を入れ、それからハーブの山や岩塩やスパイスなどをたっぷりと振りかけ、その上にまた熱した小石を入れて鉄の蓋をきっちりと閉めると、その容器はぐつぐつという音をたてて山羊肉が煮え始めるのです。まるで容器は音をたてながら賑やかにダンスでもしているかのようです。 半時(はんとき)もしてから蓋を開けるなんとも美味しい山羊肉料理、それを20名ぐらいで草原に座って、大きな輪になって食べるのですが、その美味しいこと美味しいこと、また山羊肉の柔らかいことー大草原には風が吹いて、雲は流れて実に愉快。食べ終わると大空からコンドルが次々と舞い降りてきます。そこでみんな山羊の骨を次々と投げながら、モンゴルの大草原での豪快な食事を楽しんだのでした。 https://www.facebook.com/photo.php?fbid=481362751994026&set=a.118526281611010.19485.100003609154217&type=3&theater

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韓国の釜山で開かれたアーティストを対象とした「絵地図分析ワークショップ」

2016年10月、韓国釜山の文化芸術基金の支援と協力で、絵地図分析ワークショップが開催されました。参加者にはプロの絵本作家が多く、完成度も非常に高度で創造的なものでした。韓国のアーティストはなかなかすごい! 「絵地図」とは「混沌の時代を生きる曼陀羅絵図による知恵物語」。それを参加者全員がグループに分かれて製作・解析しながら積極的なアクションを創り出していきます。私が驚いたのは、かってソウルの有名女子大で行ったときには、学生だけでなく教授たちのグループも参加者として加わって絵地図を制作・解析に参加したことです。韓国ではKT(コリアン・コミュニケーション)などコンピュータや通信関係の幹部養成でも使われました。カンボジアでは、コミュニティ開発で徹底して使いました。30年前に、私がユネスコの識字活動の中から生み出した画期的な方法です。 2017年は8月7日~8日に再度、釜山で行われます。東京の絵地図分析研究所(PMA)から、私を含め2人が講師として招請されています。行ってきまーす。2017年9月からはこうした各地からの報告を受けて、定例の研究会 (自由が丘) も始まります。

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