ああおとうとよ君を泣く 君死にたもうことなかれ

    2020年3月3日現在、渋谷駅前、その昔、文芸誌”明星”が1900年から1908年に発刊された地にいます。明星は、与謝野鉄幹や与謝野晶子などが発刊した詩歌の雑誌で、石川啄木、高村光太郎、北原白秋など多くの詩人の作品を世に送り出しました。しかし最高の傑作は、反戦詩を書いた与謝野晶子の「君死にたまうことなかれ」ではないでしょうか。この時期は、1904年2月8日から始まった日本とロシアの戦争で、日本全体が血と涙に明け暮れた大変な時期でした。佐藤忠良作のブロンズ像が旧居跡にありました。 旅順口包囲軍の中に在る弟を歎きて 与謝野晶子 明星9月 ああおとうとよ 君を泣く 君死にたもうことなかれ 末に生まれし君なれば 親のなさけはまさりしも 親は刃(やいば)をにぎらせて 人を殺せとおしえしや 人を殺して死ねよとて 二十四までをそだてしや 堺(さかい)の街のあきびとの 旧家をほこるあるじにて 親の名を継ぐ君なれば 君死にたもうことなかれ 旅順(りょじゅん)の城はほろぶとも ほろびずとても 何事ぞ 君は知らじな あきびとの 家のおきてに無かりけり 君死にたもうことなかれ すめらみことは 戦いに おおみずからは出でまさね かたみに人の血を流し 獣(けもの)の道に死ねよとは 死ぬるを人のほまれとは 大みこころの深ければ もとよりいかで思(おぼ)されん ああおとうとよ 戦いに 君死にたもうことなかれ すぎにし秋を父ぎみに おく…

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