「日本には世界に誇るものはたくさんあるが、ただしビジョンがない」

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原発ゼロ社会を達成したドイツのある専門家が、「日本には世界に誇るものはたくさんあるが、ビジョンがありません」と言い切りました。ビジョンがない、それは「日本人は、長期的なものの考え方が出来ず、刹那の時間内でしか物事を把握できない民族」だということです。つまり50年後や100年後など未来へ向けての日本人の生き方の時間や空間を描けないということです。確かに近年、日本には、ビジョンらしいものは全く生まれていません。その理由は、現在形が余りにも忙しく、過去にも未来にも目を向ける時間的な余裕が全く無かったということもありますが・・・・・・・・・・
なぜビジョンが日本に生まれないのでしょうか?その答えは明瞭です。未来とは、現在から描くものではなく、過去の膨大な時間の中から描いていくもので誕生するものですから。考えてみると、日本は歴史問題に限らず、自分たちにとって忌まわしい体験はすべて忘却しようとしている民族です。そして事実でもない日本の歴史を「教育の名を借りて」強制しようとしているのです。近代における日本の侵略戦争も従軍慰安婦もすべて事実は忘却、自らの言い分だけで歴史教育を行おうとしている浅ましい日本の姿があるのです。                                                                                                           ビジョンとは、過去に経験した辛くさまざまな厳しい経験の中から育まれてくるものです。過去の事実や真実を、これを次世代の子どもたちや若者に伝えていくことは、こうした時代を生きた人間たちの大きな義務ですが、それがきちんと果たされていない日本。まるで放射性物質の垂れ流しのように無責任な日本。これでは「原発の収束や未来はおろか」、「子どもたちの避難」や「膨大な放射射廃棄物の処理」など深刻な懸案事項などに、全く対応できない頭になっているのは間違いないのです。これは実に悲しいことであり、恐ろしいことです。未来への対応ができない民族になってきた中で、「平和憲法」を「戦争憲法」へ変える動きが本格化しており、平和という空間が足元から大きな音とともに崩れさっているのが現実です。

かって私は、2005年、軍政下におけるミャンマーで雑誌で、何度か長いインタビューを受けたことがありますが、長時間のインタビュー記事が掲載された後、編集者に反応を聞いてみると「読者からはかってなくいい反応がありました」と大変喜んでくれたあと、「検閲はたった1か所だけでした」というのです。「ええ、それってどこでしょう」」と尋ねると「・・・・社会の事実や真実を次世代にきちんと伝えていくことがとても大切だ」としゃべったところがすべて削除されたとのこと・・・「なるほど」軍事政権とは、いつも事実や真実を伝えていくことを極度に恐れていると痛切に感じたことでした。
                                              
今日、近隣諸国の中国や韓国とあるべき外交関係を結べない根源には「日本が過去の戦争についての反省がない」ということからきていますが、そもそも「靖国参拝」が意味しているものは、日本がかって「侵略戦争を遂行した時のリーダーであるA級戦犯を祭ってある」ということを意味しているのです。これは日本人が過去の戦争責任の清算を誠実に行っていないということが、未来に向けての日本人の生き方まで奪っているのです。従軍慰安婦の問題も南京大虐殺にしても真実を伝えることが最も重要です。子どもや若者たちが、未来へ向けてビジョンを築くためには、砂上楼閣のように真実ではない日本社会では、あっという間に小さな波で崩壊してしまうのです。陰のない人間存在はどこにもいません。いかなる文明にしても全く同じ。率直に陰を認めて謝罪しない限り、未来の形は決して生まれてはきません。

日本人には、放射性廃棄物と同じく、絶対に水に流してはならない「過去」があるのです。その痛みを痛切に感じながら、未来の日本は作られなければならず、戦争への反省も、全く知ろうとしない政治家や教育者から「美しい日本」や「ビジョン」が生まれてくるはずがないのです。



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