文字の読み書き(識字)とヒューマン・リテラシー
文字というのは実に不思議なものです。文字を使うと、簡単に紙片に知識や情報を貯蔵できるのですから。例えばパピルスという植物で作った紙に記された古代エジプトの3千年前の出来事だって文字が読めれば簡単に理解できます。人間の社会は、緊密なコミュニケーションによって成り立っていますが、これは文字だけではありません。言葉や文字に加えて、記号、写真、絵図、動作、映像などたくさんの方法があります。
しかし文字が一番複雑で正確に表現したりすることができます。文字の発明は人間の発明の中でも最も素晴らしいものです。もし文字の発明がなかったら、人間の歴史は大きく異なっていたでしょう。文字があれば、何千年前に起きた出来事でも読み解くことができますし、時代を越えて伝えることも、国境を越えてどんな国々の人々にも伝えることができるのです。現代は、コンピューターで写真や映像などさらに印象を具体的に生き生きと瞬時に伝えることができますが、しかし表現の基礎にはすべて文字によるものです。文字は、詳しい事実の表現や複雑な科学知識などを正確に表現することができますが、万能ではありません。文字や言葉(言語)で表現できない世界があることから多様な視聴覚時代が始まっているともいえます。
文字が発明されていなかった時代や文字が使われていなかった時代、人間はすべての出来事を頭の中に記憶しているのでした。紙に記載して記録するということはなかったのです。ですからみんなの記憶力はとても良かったのです。日常のことや歴史の出来事はすべて口承…