雲の語った物語から「親を捨てる物語と伝説」

いつの頃だったか、私はヒマラヤの上空に浮かんでいました。ヒマラヤは世界の屋根と呼ばれ、天をつくような高い山々が雪を冠ってそそり立っていました。その美しい風景ときたら、雲の私だってその美しさに息が止まるほどでした。でも天井のその美しさに比べ、ネパールの地上の貧しさときたら・・・・・・」 と雲は話し始めました。 「山の裾野にある村から、口やかましい夫婦喧嘩の声を耳にしたのです。夫婦喧嘩の声というのは、いつ聞いても、どこで聞いても、余りいい声ではありません。」 と雲は苦笑しながら言った後、 「今日聞いたのは貧しい農家の女房が、しわくちゃだらけの手をした痩せた亭主をにらみつけている風景でした。」 「ネエ、あなた・・・・少しはうちの子どもたちのことを考えて下さいな!あの子たちは、いつもお腹いっぱい食べられないから、まあ、見てごらん!あんなにやせ細って・・・いいですか。うちには食べるものが十分ないんですから。あなた!決心してくださいな。口減らしのためには、お父さんに山に行ってもらうしかないでしょ!そうでしょ!わからないの?」 「余り、ガミガミ言うなよ。・・・・・・」と亭主が弱々しい声で答えていました。 「たった一人のお父さんだから、山に置いてくるのは忍びないんだよ。お父さんの表情を見ていたらなんだか哀れになってきてね。年をとって体は弱っているし、息子にいつ捨てられるかと心配している、あのびくびくした目つきをみたらね。なにも言えないんだよ。」 「・・・・・だから、あなたは駄目な…

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