ガダバブー(ロバのだんなさま)は、とても勇敢だったが・・・・

ガダバブー(ロバのだんなさま)の話 私が、その昔、インドの西ベンガル州のシャンティ二ケタンで学生時代を送っている時、カルカッタから一人の若い男が訪ねてきました。名前はなんでも秋人(アキヒト)とか言いました。彼は大きな夢を持っているというのです。なんでもその夢の実現のためにマグロ漁船に2年間乗って働き、お金を貯めたというのですが、彼の夢とはインドの「ロバ」に乗って、カルカッタからパリまで陸路で旅をするというのです。歴史上、まだ誰もまだ実現したことがないということや、ロバに乗ってのんびりと行くのというのが、夢の核心部分でした。 私自身もロバは大好きだし、シルクロードをロバで行くという大ロマンには考えただけでもぞくぞくして、そこである晩、彼を夕食に招いたところ、彼がマグロ漁船で、どのようにして働いていたか、どうやってお金を貯めたかということなど最盛期の働きぶりをかれは実演してくれました。大きなマグロが次々と捕れた時、どのように必死に大きな縄をたぐり寄せるか、その表情には、夢を実現するための熱意のすべてがこもっているようでした。その熱意があればどのような夢の実現も可能のように見えました。私はそれだけでも感心してしまいました。 彼は、大都会のカルカッタの周辺でロバを探したそうですが、どうしても見つからず、そこで日本人の留学生もいるタゴールの設立した学園のあるシャンティ二ケタンの地で、日本人の協力を得てロバを探そうとしていたのですが、やっと苦労して手に入れたロバは「クリーニング屋」で働いてい…

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識字は文学を通じて形成されるべき

文学と識字 人間が発明したものの中で、文字(識字)というのは実に不思議なものです。文字は、知識や情報を簡単に貯蔵する事ができるし、簡単に加工することも、時間や空間を越えて世界に即座に伝えることもできます。文字は人間の思考や活動を記録したり、人々の表現やコミュニケーション能力を育て、現実社会を大きく変革させる原動力ともなってきました。現代の文明はそのおかげです。 しかし、現在、全世界の成人のうちなんと十億人もの人々は、この文字の読み書きが全くできず、非識字者と呼ばれている。戦火にあったアフガニスタンやカンボジアは、世界で最も識字率が低く、農村地域のほとんどの成人ー特に女性たちは全く読み書きができない。そして現在世界では、経済面だけでなく世界の識字者と非識字者との間に、知識や情報の巨大 なギャップが生じており、非識字者の三分の二は我々のアジア地域に集中している。貧困と識字は、密接な関係にあり、識字率の低さが、主要な貧困を作りだしているのは紛れもない事実である。そのため識字率を高めようと、人間社会はあらゆる努力を傾けてきた。 では識字力があればすべて世の中の問題が解決するかというとそうではない。広島に生れた私はこの頃、人間の進化や発展について、ひどく否定的な気持ちとなっている。特に2011年、日本で起きた3.11の福島の凄絶な原発事故を経験してみると、われわれの文明は光やエネルギーを求めて、膨大な知識や情報、そして最先端の科学によって豊かな社会を求めてきたが、その多くはすべてが悪夢のよ…

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立ち往生するインドの原発の建設計画の今

議論を巻き起こすインドの原発推進 http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110725002&expand#title Rebecca Byerly in New Delhi, India for National Geographic News July 25, 2011 インドでも「原子力は最も低コストでクリーンな電力供給手段だ」と、ジェイラム・ラメシュ前インド環境森林大臣が述べて人々の説得をはかっている。こうした真っ赤な虚偽が、日本だけでなく、全世界の原発推進を行っている為政者たちの言葉だ。原発のどこが最低のコストでクリーンであるのか?100万年も冷却しなければならない放射性廃棄物をかかえるだけで、低コストではありえないし、大気も地中も水も無限に汚染していく原発エネルギーを住民に説明できるものはいない。 インド西海岸の港町ジャイタプールで、世界最大規模となる原子力発電所の建設計画が進められている。この町は電力こそ不足しているが、魚介や果物の輸出で暮らし向きは良く、住民は生活の変化を望んでいない。3月の福島第一原発の事故後、エスカレートする抗議運動の中で「原発反対」を明確に表明した。  数年前、慢性的な電力不足を抱えるインドは技術的な孤立を解消するため原子力エネルギーの利用拡大を構想、ジャイタプールを重要拠点と位置付けた。当時のアメリカ、ブッシュ政権は…

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破局的な原発事故と中国/インドの新しい原発建設の課題

現在、福島原発が想像をはるかに超えて、破局的な局面に進んでいる。今回の未曾有に事故は、決して地震や津波によってのみ起きたものではなくて、人間のおごり高ぶった科学文明や目先の見えない経済活動によって、引き起こされたものだが、これはまだ地球の人間にとってはごく始まりなのである。 日本が広島の原爆によって戦争核を悲惨な状況で体験したと同じく、原発というエネルギー核によって、その恐怖を世界に知らしめる先鞭をつけたにすぎない。人間は、自然界からさまざまなものを取り出したが、決して開いてはならない「パンドラの箱」に手をつけたのが核技術であった。しかし核以外にも、染色体の移し変えや目に見えない科学技術の分野で、さまざまな実験が行われている。それは市場経済という名目で。 これらの結果は時がたてばたつほどに大きく悲惨な結果として表れてくる。あるものは目に見え、あるものは目に見えずに突然、あるいはゆるやかにその姿を現してくる。20世紀型の人間たちは、無限の開発を行いながら経済成長を最大の目標として市場経済を推し進めてきた。中国やインドにおいても、貧富の差や環境破壊、そうしたその矛盾がいたるところに噴出しているが、経済成長に目がくらんだ世界の経済界は、現在、中国やインドでは、それぞれ100基もの原発を建設しようと躍起になっている。特に中国国内では、現在、建設中・計画中の原子力発電所は、159基・1億6454万キロワットもある。 今回の福島原発の結果を受けて、原発建設の動きは、世界的にかなりの…

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ロバはどこを向いて歩くのか?

ーこれはシャンティ二ケタンに因んだ物語ですーガダバブー(ロバのだんなさま)の話 私が、インドの西ベンガル州のシャンティ二ケタンで学生時代を送っている時、カルカッタから一人の若い男が訪ねてきました。名前はなんでも秋人(アキヒト)とか言いました。彼は大きな夢を持っているというのです。なんでもその夢の実現のためにマグロ漁船に2年間乗って働き、お金を貯めたというのですが、彼の夢とはインドの「ロバ」に乗って、カルカッタからパリまで陸路で旅をするというのです。歴史上、まだ誰もまだ実現したことがないということや、ロバに乗ってのんびりと行くのというのが、夢の核心部分でした。 私自身もロバは大好きだし、シルクロードをロバで行くという大ロマンには考えただけでもぞくぞくして、そこである晩、彼を夕食に招いたところ、彼がマグロ漁船で、どのようにして働いていたか、どうやってお金を貯めたかということなど最盛期の働きぶりをかれは実演してくれました。大きなマグロが次々と捕れた時、どのように必死に大きな縄をたぐり寄せるか、その表情には、夢を実現するための熱意のすべてがこもっているようでした。その熱意があればどのような夢の実現も可能のように見えました。私はそれだけでも感心してしまいました。 彼は、大都会のカルカッタの周辺でロバを探したそうですが、どうしても見つからず、そこで日本人の留学生もいるタゴールの設立した学園のあるシャンティ二ケタンの地で、日本人の協力を得てロバを探そうとしていたのですが、やっと苦労して手…

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文明はどこの方向を向いているのか?インドのシャンティ二ケトンで考えたこと/行ったこと

                      ラマチャンドラン画ーさびしい狐- 1975年頃インドの西ベンガル州のシャンティ二ケトンに遊学していたときの思い出です。その地では、タゴールの学校(Visva-Bharati) の大学院哲学科には在籍してはいたものの、クラスにはほとんど関心もなく学校にはほとんど行きませんでした。なにかタゴールだけ祭りあげて、地元の少数民族のサンタル出身の学生を受け入れることもなく、教育内容には腑抜けしたような環境を感じたのです。 そこで文化の豊かな周辺のサンタル少数民族の人々の村を訪れたり、学校へ行けない子どもたちに’砂漠の学校”(粘土細工や歌を歌ったり、英語を教えたりしていた)をやったり、夜には、ロビンドロナート・タゴールが作詞した歌を歌って過ごしていたのです。のどかな時代でした。文化や自然の豊穣なベンガルの地に2年余り生活していたのですから。ああ、よかったな!あのころ・・・・ 幼いタゴールがベンガル語の韻の詩句を習い始めた時「ジョル・ポレ、パタ・ノレ(雨はぱらぱら、木の葉はざわざわ)」という自然から湧き出た美しい言葉に霊感を感じたのは有名な話ですが、私も毎日、ベンガルの激しく流れる雨雲の下で、子どもたちと一緒に遊びながら、楽しく過ごしていたのです。ジョル・ポレ、パタ・ノレ・・・・ そのロトンポリの地のおかしな形をした私の住居(画家キロン・シンハーの家)は、カルカッタ領事館に所属しベンガル語を学んでいた藤田日出男さんの紹介で住むことになったのですが、…

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完結した南アジア共同出版で刊行される5冊の絵本

昨日は、12年間続けてきた「南インドの平和絵本の共同出版」プロジェクトで出版する絵本のドラフトがようやく5冊まとまって、インドの出版社へ送りました。この出版社はインドの最大の出版社で、プロジェクトのインド側代表が、この出版社の前編集長だったのです。そして現在彼女は、国立マハトマガンジー平和記念館の館長です。 このICLCプロジェクトは1998年から始まり、2001年には東京で5カ国、2004年にネパールで4カ国による編集製作会議を開いて、編集してきたものです。英語版で出版して、それぞれの言語に翻訳出版するものです。その中の1篇の物語(絵本の文章)をご参考にお送りします。これには私も若干筆を入れています。平和絵本というのが、こういう形で子どもたちに伝わっていけばいいのではと思っています。 なにしろ印パが共同で、子どもの絵本を出版するというのは世界にはまだありません。これらの5冊はそれぞれ意味をもった内容の絵本ですが、初めて長年のプロジェクトが,、「ひろしま・祈りの石国際教育交流財団」や国際交流基金などの支援を受けて具体的な形を見せてきたので大変うれしく思っているのです。 印パ関係は今も大変険悪で、軍事力は増強され続けているのですが、こうした形で初めて共同絵本が生まれたことは、民主党が政権交代を可能にした以上の可能性を感じているのです。 この共同出版を基点に、今年は、ラホールで大学で教授と学生と共同の環境に関する絵地図をやりましたが、 これはパキスタン側が製作したもので…

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アジアと私

アジアと私  ある日、私はそれまで1年間暮らしていたドイツのミュンヘンを発って、インドに向けて旅立った。イスタンブール急行というヨーロッパからアジアの国々へと横断する国際列車に、三日間ゆられ、はじめてトルコのイスタンブールの地を踏んだとき、なんという感動が全身にこみあげてきたことだろう。トルコに着くとアジア大陸が始まるのである。東西文明の十字路ともいわれるイスタンブールで、目にし、耳にし、臭いをかいだのは、ヨーロッパ社会の時間や空間とはまるで異なった、ごちゃごちゃの活気ある世界と生活であった。あらゆるものが生(なま)の形で動き、生き、笑い、愛し、哀しむひとびとの生活がそこにあった。 南の国特有の灼熱の太陽と、照り返す路上の熱気のなかで、ひとびとのすさまじいかけ声やののしりあいや叫び声を聞いた。イスラム教のモスクからは、コーランの読経が天空にこだまし、何百年も全く同じ鉄のハンマーで打っていたのではないかと思えるかじ屋のハンマーの音。羊の腸に水を入れて運ぶ男たちの群れ。きゅうりを十字にさいて、塩をふりかけながら売り歩く少年たち。黒煙を吐きながらけたたましく走りゆくポンコツ自動車……。 およそあらゆる存在が、生きのびようと必死にもがいて、自分の存在を主張している。しかし私は鼻の穴をまっ黒にさせながらも、全身でホッとするものを感じていた。この世界は、いかにもヨーロッパの文明人らしくかまえることもなく、きびしくきめられた姿勢や役割りを行儀よく演じることもいらず、ただ自然に人生に参加…

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希望は作り出すもの!ーインド・パキスタンの子どもたちの環境の今」 ICLC緊急セミナー9月5日(土)

       「インド・パキスタンの子どもたちの環境のいま」 多数のビデオを使って報告する刺激的なセミナーです。 とき:  2009年9月5日(土曜日)PM 13:30―16:30 ところ: 環境パートナーズシップオフイス (エポ会議室)表参道      東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F (裏面地図) 主催:  国際識字文化センター(ICLC) tel. 090-9137-8411 連絡メール: iclc2001@gmail.com http://iclc.at.webry.inf/ 今回のセミナーは、5月に南インドとパキスタンで行われたICLC活動を視聴覚を交えて報告するものです。南インドのシャクティセンターと共催した、ダリット(最下カースト)の子どもたちを対象とした創作活動のワークショップの中で発見したことは、インドの子どもたちは、今大きな変化の中に置かれているということです。 ICLCは、子どもたちのさまざまな創作活動を担当し、多数の物語や教材や絵地図分析などを行い、親の感染でエイズが子どもたちへ拡大している深刻な環境や初等教育を補うものとして、NGOなどの豊かな創作活動がダリットの子どもたちへの大きな励みをもっていることなど多くのことを学びました。 セミナーでは子どもたちが創作したいろいろな物語、教材などの紹介やワークショップで提起された多くの課題などをとりあげます。 またパキスタンでは、刑務所に収容されている子どもたちの4館の…

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ダリットの子どもたちとの共同創作に参加して

インドのダリットと呼ばれる子どもたちと共同創作を行う 2009/06/07 15:52 日本を2009年5月10日に出発してから、インドの最南端のタミールナドゥー州で、ダリット(被差別最下カースト)の子どもたちとのワークショップは5月15日から23日まで、約250名を対象にワークキャンプを行っていました。 すべて8歳ぐらいから16歳ぐらいの子どもたちですが、このワークショップを共同で主催したキリスト教関係のシャクティセンターの修道女たちとICLCは、共同でワークショップを行い、そのうち約70名を対象に、私は絵地図分析や創作ワークショップ、紙芝居、ストーリーテリングなどを行ったのです。これは4日間続きました。こうした長い期間、直接インドの子どもたちと接したのは、私には初めてのことでした。 これに対してどのような反応が子どもたちからあったか? これは大変おもしろくいい経験になりました。何度思い返しても、無上に面白かった。子どもたちは、基本的に生きる喜びを見つけるのに必死ですからね。好奇心の塊ですから。内面に深刻な問題を抱えていても、太陽に向かって伸びていく若芽のように、たくましいですからね。 子どもたちへと、日本の紙芝居も何点かもっていきましたが、実際演じてみるといろいろな課題も感じました。子どもたちは大喜びでしたが、日本の紙芝居がもっている「普遍性の欠如」という課題を感じたのです。もちろん紙芝居は、子どもたちの興味や関心を引き出すおもしろいものがいいのですが…

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死と生の太鼓の激しいリズムと踊りで、観衆はいつも涙を流した。

それにしても信じられないことが起きた。2008年11月17日の夜の虎の門での公演の時。それはタップーと呼ばれる死の太鼓の激しいリズムと踊りであったが、見ている観衆は涙を流した。どの公演でもそうだった。それは哀れみや憐憫からくるのか?そうではない。憐れみでは決してなかった。その踊りの美しさから来るのか、いやそれも違うようだ。とにかくなにかが起きる。なぜみんな涙を流すのか? ICLCの主催したインドのダリット(不可蝕賤民と呼ばれる最下層の人々)の女性舞踊団がインドからシスターシャクティに率いられてやって来て、2週間にわたって東京などで公演を行ったが、それはどこでも大きな感動を巻き起こした。 とにかく芸術というものが人を激しくを動かすということを知った夜であった。舞踊を見ているうちに自然に涙が頬を伝わるというのは・・・・・すごい表現だ。それもほぼ全員・・・・・ 現代の日本の薄っぺらの芸術とまるで比較にならない。テレビ文化では決してない。インドの何千年もの時代の中を生き抜いてきた芸術が21世紀に蘇ったのだ。抑圧されてきた先住民族のドラビダ文化があざやかに蘇って、人間の痛ましい現実に魂と叫びののろしを上げたのだ。 その感動に人々は涙を流した。まるで奇跡のように。それが東京で起きた。 人はなぜ差社会に別や区別を作っているのか?それは現代も無数に続いていること。あらゆる形を変えて・・・・今年はアメリカで黒人の大統領が生まれたように、なにかが起きつつある世界だ。 こうした芸…

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デリーのコンノート広場の近くにある小さなホテルから

2007年4月5日現在、インドのデリーの真ん中にあるコンノート広場の近くにある小さなホテルに滞在しています。今日はインドのデリーにあるNGO団体の要請で、デリーから車で2-3時間かかるラージャスタン州に近く識字率がわずか7%という貧困な村へ行って、絵地図分析ワークショップの予定です。日本を発ってから3週間が過ぎています。今回の旅はそれにしても刺激的・・・パキスタンでは、菜の花のガンダーラ地方を歩き回ったり、インダス川を越えてラホールやムルタン、それからインドはデリーから最南端のタミールナドゥー州の海岸や内陸部まで行ってきました。 今回のパキスタンで行ったこと: 1. ファイサルバード、ムルタン、ラワルピンディの刑務所の中にある子どものためのキラン図書館を2年ぶりに訪れしっかりした現地調査を行ったこと。そして新たにアデアラ刑務所の中に女性のための図書箱(前段階として図書箱より始める)の設置に向けて動き出したこと。これはムルタン刑務所の女性は、出身地に分散されろことになり、アデアラ刑務所に多数の女性が収監されているため。 2. ペシャワールに新しいキラン図書館が設置されて関係者による開館式が行われたこと。アフガニスタンに近く多数の子どもたちが収監されている。刑務所側の話しでは、新しく建物が建ったのはなんとイギリスがこの刑務所を設置してから、このキラン図書館が153年ぶりだという。嬉しいような悲しいような。これは共同通信の記者によって、日本の10種類にのぼる地方紙でも紹介された。 …

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インド最高の芸術家ーA.ラマチャンドランの世界

かってインドは、爆発する人口・貧困・カースト制度などを背景に「貧困の代名詞」のように言われてきたが、現在のインドは、経済の自由化のもとにコンピューターや科学技術の華々しい開発で世界経済の中で脚光を浴びながら著しい変化を遂げている。しかし光の部分が強ければ強いほどインドが直面している影の部分も一層深刻でもある。その格差はまさに天文学的である。 こうした激しい変化の体制の中で希望と言えば、インドの各地域に根ざしたNGOが各分野で活躍していることやまたいろいろの分野で、インドの伝統を学びながらも個人の存在としての生き方が輝いている点である。インドには魅力的な人間が多い。それは光と闇が入り混じった世界や相反する世界や多元的な価値観の世界が混在し、そしてその中から絶えず独創的な世界を生み出そうとして苦悩している世界があるからである。インドの伝統文化の重要さに深く傾倒しながらも、西欧やアジアー特に日本の絵画の世界から大きな影響を受けながら独自の世界を築き上げたインドの画家、A・ラマチャンドランは日本では絵本作家としか紹介されていないのが非常に残念であるが、インドでは逆に彼が絵本作家であるというのはほとんど知られていない。巨匠と呼ばれる人の場合はいずれもそうであるが、全体像が余りにも大きく彼の活動のほんのさわりしか紹介できない。また15年前に完成した画稿であるが、最近東京のディンディガル・ベルより、日本語・英語・韓国語の3言語で刊行された絵本「大亀ガウディの海」の絵本の新作イラストも併せて紹介したい。 …

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